茨木市議会議員 山下けいきHP

 

総点検 効かない危ない

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ全国ネットワーク編(合同出版)1988年9月発行

 

 死の寸前からの回復

 1986年11月29日、大阪医大病院に小学五年生の女児が担ぎこまれます。多発性神経炎と診断され、点滴を受けますが、言語障害・視覚障害についで歩行困難と症状は進んでゆきます。ついには、呼吸困難に陥り、生死の境をさまよう危篤状態にまで追い込まれます。
「一時は親戚に集まってもらったほどです」(母親)という恐怖の日々でしたが、適切な治療にも助けられて、若い生命はこのピンチを乗り越えます。40日後、無事に退院。元気に学校へ通うようになります。「脳もマヒするのではないかと言われたが、後遺症も残らず、ホッとしています」という結末は不幸中の幸でした。人工呼吸器などの医療機器が普及していない昔でしたら、助からない公算のほうが大きかったかもしれません。
 発熱する前日に茨木市内の小学校で二回目の接種を受けていました。病院ではいろいろ検査をしましたが、結論として「接種以外の原因は考えられない」ということになります。
 予防接種の副作用ということになれば、救済制度があります。これほどの事故であれば、当然学校や市が調査に乗り出し、救済に努めるべきところです。しかし、現実はタテマエ通りには進行してはゆきません。両親はあちこちに訴えるのですが、いっこうに救済の段取りにのりません。取り上げてくれる場も見いだせず困り果てたあげく、母親は市議会議員の山下慶喜氏を尋ねます。かねて、市議会でインフルエンザ予防接種についてたびたび批判していたと聞いたからです。「これでは納得出来ない。ぜひとも聞いて欲しい」という母親の訴えに山下氏はビックリ。早速、薬害に詳しい人の手を借りて救済のための書類を整え、認定申請を出すことができます。
 運よくこうした手助けをしてくれる人に出会えたから良いようなものの、あやうく泣き寝入りになりかねない事態でした。
 翌年の三月なかばになって、ようやくこの事故は新聞で報道されます。この報道には「接種後、熱がでた程度の話は全国から5、6件あるが、危篤の話は少なくともこの5年間、聞いたことがない」という厚生省のコメントがのっています。しかし、これは明らかにウソです。
 この年すでに気仙沼の事故は大きく報道されていましたし、その報告は厚生省にも届いていました。それなのに事故の報道にさいして、明らかに事実に反するこうした解説がついて回るというのは不可解です。「副作用は希なこと」という印象を、事あるごとに与えようと厚生省が考えているとすれば恐ろしいことです。
 さらに、これは後になって分かったことですが、実はこの年、神奈川県伊勢原市では死亡事故まで出ていたのです。接種後さしたる症状もなく眠りについたのですが、翌朝母親が見ると冷たくなって死んでいたというのです。死因がハッキリしないということで解剖にふされましたが、その結果、副作用と認定されました。

 

新聞記事に見る山下けいきの活動に

誰のための予防接種に