動物の権利の世界宣言
(1978年宣言改正版)

(1989年、ユネスコ本部、パリ)

前文

 「生命」はひとつであり、すべての生物は共通の起源をもち、種の進化の過程において分化してきたことに鑑み、

 すべての生物は生来の権利をもち、神経組織をもつすべての動物は特別の権利をもつことに鑑み、

 これら生来の権利の無視、否(いな)、単なる無知すら「自然」に対する重大な侵害をひき起こし、動物に対する犯罪を人間に犯さしめることに鑑み、

 世界における種の共存は、人類が他の種の生存権を認めることを前提とすることに鑑み、

 動物の尊重は、人間自身の間の人間の尊重と不可分であることに鑑み、

 つぎのように宣言する。

第一条

 すべての動物は、生物学的均衡(equilibres biologiques)の枠内で、等しく生存の権利をもつ。この平等性は種ならびに個体の間の差異を覆い隠すものではない。

第二条

 すべての動物(vie animale)は、尊重される権利をもつ。

第三条

@いかなる動物も、虐待または残虐行為の対象とされない。

A動物を殺すことが必要な場合には、即座に、苦痛なく、不安を生ぜしめないやり方で死にいたらしめなければならない。

B死んだ動物は品位(decence)をもって扱われなければならない。

第四条

@野生動物は自然な環境のなかで自由に生き、その中で繁殖する権利をもつ。

A野生動物の自由を長期間奪うこと、娯楽のための狩猟と釣り、そして生命維持に不可欠でない目的での、あらゆる野生動物の利用は、この権利に反する。

第五条

@人間が自分の支配下においている動物は、扶養され、注意深く世話をされる権利をもつ。

A前項の動物は、正当な理由なく、遺棄され、死に至らしめられてはならない。

B動物の飼育・利用の形態がいかなるものであれ、その種に固有の生理と行動を尊重しなければならない。

C動物を使った展示、見世物、映画もまた動物の尊厳を尊重し、暴力を一切含んではならない。

第六条

@肉体的・心理的苦痛をともなう動物実験は、動物の権利を侵害する。

A代替方法が開発され、組織的に用いられるべきである。

第七条

 必要なく動物の死を伴う行為はすべて、ならびにそのような行為へといたる決定はすべて、生命に対する犯罪を構成する。

第八条

@野生生物の生存を危うくする行為はすべて、ならびにそのような行為へといたる決定はすべて、ジェノサイド、すなわち種に対する犯罪を構成する。

A野生動物の殺戮、ビオトープの汚染と破壊はジェノサイドを構成する。

第九条

@動物の法人格とその権利は、法律によって認められるべきである。

A動物の擁護・保護については政府機関のなかに代表者をもつべきである。

第十条

 啓発と公教育によって幼いうちから動物を観察し、理解し、尊重するよう、人間を導くべきである。
 

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