親の体験を伝えていきませんか

 玉島公民館 運営副委員長 山下けいき

 

 昔の暮らしを話してもらえないだろうかと玉島小学校の先生から依頼を受けました。3年生の子どもが相手です。気安く引き受けたものの何を話したらいいのだろうと戸惑いました。昔のアルバムをめくり、また同窓の先輩で野崎耕二さんが書いた画文集「からいも育ち」を見ながら、私自身、昔の世界に戻っていきました。

 プールが無くて泳ぎの練習は二`ほど歩いた先にある吹上浜でした。楽しく泳いだものの帰りはくたくたでつらかったこと。夏になると木から木へ渡って、大きな木にやぐらをこしらえて涼んだこと。その頃、風は木から吹いてくると思い込んでいました。庭や田畑の畦、浜辺にそれぞれ違った紅い実をつけるグミがおいしかったこと。手伝って大きい見事なスイカが出来たのに、いざ農協への出荷になるとたったの30円にしかならず悔しい思いをしたこと。大人が公民館で練り上げた子どもの頭ほどの太さで20m余りもある縄を引いて村中を練り歩き、夜は相撲大会が行われた十五夜まつり・・・。全部は話せませんでしたが子ども達は楽しそうに聞いてくれ、質問もたくさんもらいました。

 自然や体のリズムに合わせて暮らしていた一昔前。今の親たちも元気いっぱい子どもしていました。

 しかし今は24時間の経済活動に体や生活を合わせる面も多くなっています。自然と親子の会話も無くなり、子どもだった頃の話をゆっくりする間もありません。そんな時代だからこそ親が元気いっぱいだった頃の話は、子ども達の想像力をかきたて、親子のふれあいにもなるように思えます。