有権者の選択肢になる護憲勢力を

第44回総選挙で新社会党と社民党が選挙協力

我が党は03年総選挙以来、社民党や共産党に対し国政選挙での「護憲共同候補」の擁立を呼びかけてきました。今回も「改憲阻止闘争の最大の場は国政選挙であり、07年参院選を含め、あと1〜2回の選挙を経て国民投票が実施される可能性は高く、今回の選挙をやり過ごすことはできない」として社民党との間で選挙共闘の協議を開始しました。新社会党は「社民党・○○連合」で戦えないかと提案しましたが、選挙が迫っていることから無理との結論に達し、比例区選挙は社民党の公認候補を推薦することになりました。

中央での選挙協力を受け、4ブロック、12府県でも選挙協力を実現できました。大阪10区から立候補する辻元清美さんの推薦を決め、社民党近畿ブロックは兵庫1区の原和美さんを推薦しました。また近畿ではみどり・市民派も社民支援に回り、社民票の拡大が図られました。

新社会党の選挙支援が社民票を大きく増やした

自民党は総選挙で郵政民営化を唯一の争点に押し出し、民営化反対の身内の造反派に対する「刺客」騒動を演出し、マスコミもこれを大きく報道しました。これで自民党は本来なら最大の争点である憲法、増税、イラク戦争参加、年金などの福祉、天文学的な財政赤字から国民の目をそらせることに成功しました。この結果、自民党は解散時の予想を大きく覆し、単独過半数(241)を大きく超える296議席を獲得、公明の31議席を合わせ、327議席に達し、全体の3分の2を超える大きな与党が誕生することになりました。また、政権交代を掲げた民主党は前回より5%の得票減となり大幅に議席を減らし、一人負けとなりました。

一方、自公民の改憲への危機感は新社会党、社民党、共産党の善戦につながりました。

 わが党の原和美候補は兵庫一区で21,844 票、9.69%を獲得、共産党候補をわずかですが上回り、第三位と健闘しました。

 社民党は前回の全国比例得票率5.12%が今回は5.49%へと0.37%伸ばしました。全国11ブロックの中でもっとも大きな前進を果たしたのが近畿ブロックで、4.07%から5.70%と1.63%伸ばしました。なかでも大阪は3.62%から5.71%、兵庫が4.66%から6.85%と極めて大きな伸びを示しました。この最大要因は両党が兵庫の原選挙、辻元選挙を中心に推薦し合い、新社会党とみどり市民派が土井たか子さんを中心とする比例区選挙に結集したことです。また、共産党は492万票、得票率7・25%を得、9議席となりました。

 今回の選挙結果は政治改革論議の際、私たちが主張した小選挙区制の欠陥、公認権、政党助成金の分配など党首への権力集中が露骨に現れたものでした。当初二大政党が理想的な政治制度として宣伝され、そのための小選挙区制と言われました。しかし今回の結果からは最大政党が第2党以下を駆逐することがいとも簡単にできうる制度であり、二大政党ではなく一党独裁をももたらすことも明らかにしたといえます。

有権者の投票意識を考えた方針を

 有権者はけして善人ではありません。思想信条は私たちと変わらなくても 投票行動は死票になるのを嫌がりいとも簡単に競り合っている他党に入れます。自民か民主で競っているとの報道で、本来は新社会党、社民党、共産党の支持者であっても、しかもその政党の候補者がいる場合でも死票を嫌って民主党候補に流れがちなことです。

 もう一つは大きなもの、力のあるものに惹かれる傾向があり、小政党は選択から排除されやすいことです。支持政党を問われて誰でも知っている自民、民主は比較的、口に出るものの、世間から拒否度の高い政党である公明、共産は口にしにくい、また小さな政党を支持している人はみすぼらしく思われる傾向もあります。

 政党が主義主張で選ばれる要素は年々小さくなり、国会議員の数、党首のイメージ、マスコミへの露出度が投票決定に大きな影響を与えています。それはあらゆる選挙で共通しており、国政選挙では顕著といえます。

 大変残念ですが正しいことを言えばやがては多数派になるというのは幻想であり誤りです。今更ですが正しい綱領政策に合わせて多数派になるための方策はどうなのか、有権者の投票行動の分析に合わせた運動が今後は更に大切になってくるように思えます。

選挙区で戦える政治勢力を

 選挙制度は今でも護憲派にとって大きな障害ですが、今後は更に大きな困難が予想されます。すでに民主党は衆院選挙での比例区議席の半減を提案、自民党もこれに乗ろうとしています。また今回の郵政法案参院否決から総選挙にいたる経過や結果から、参議院の存廃も議論されており、全国一つの比例選挙が現状維持でいけるのか予断を許しません。衆参で比例区議席が減少や消滅になるとすれば、どうしても小選挙区、都道府県単位の選挙区で闘える方策を考えていかなければなりません。

 今回社民、新社会党の選挙協力が大きな成果を収めたことから、護憲勢力の大結集への期待が高まっています。新社会党、社民党、みどり・市民派の結集を果たし、それを軸として共産党と戦線を組むことも視野に入れなければなりません。護憲平和を掲げる政党、政治勢力は小異を残して大同につく、原則は原則として、自公民と対決できる政治勢力の結集に全力を尽くさなければ、国民の期待を裏切ることになるでしょう。選挙区で有権者の選択肢となり、自公民と対決するためには新社会党、社民党、みどり・市民派、共産党だけではまだまだ足りないぐらいの気持ちが必要かもしれません。

新社会党の果たすべき歴史的な役割がある

 すでに近畿レベルでの新社会党、社民党、みどり・市民派の結集の動きは始まっており、この動きを、それぞれの組織全体の共通認識に高めていくことが求められます。

 第3極結集を呼びかけ、賛同人を議員レベルで募ることなどが考えられます。国会レベルでは辻元清美衆議院議員、土井たか子さんなどの前職、元職を看板に、都道府県議会、政令都市で2桁を超える現職議員、それ以外の市町村会議員で50名から100名の議員が結集すれば、かなりのインパクトと存在感を持てるのではないでしょうか。加えて個人、労組、市民運動グループ、大衆団体はこれらの政治勢力の結集を促し、ともに行動していく。

 また政治勢力が定期的な共同行動を組み、個人、大衆団体にも参加を呼びかける。ホームページを立ち上げ、参加議員を紹介する。近畿単位で共通のビラを作成し、表は共通版で全参加議員の紹介、裏は議員の個人版としながら配布する。これを近畿、各府県、市町村レベルで重層的に取組み、存在感を高めていく。近畿から全国的に広げていく。もちろん中間自治体選挙、今回の大阪市長選にもかかわっていくぐらいの積極性がいるのではないでしょうか。

 共産党や国民新党、新党日本と課題ごとの共闘も必要があればやる。民主党との共闘も除外しない。選挙は相手がおり、その相手である自公が選挙の時には融合とまで言われるぐらいに一体化する中で、大胆な選挙共闘、選挙時だけの政党は現実の課題になっています。

 ドイツでは東ドイツの政権党だった民主社会党PDSが社民党から離脱したWASGと選挙同盟「左派党」を結成、PDSの前回得票率4.08.7%から8.7%と倍増し議席も2から54議席と大躍進を果たしました。共同が大きな力になることはこれだけでなく、過去の国内の選挙共闘からも明らかです。今の状況で言えば、新社会党は全体を束ねる絶好の位置にいますし、新社会党しかいないとの意気込みをもって歴史的な役割を果たしたいものです。

2005年11月 「新社会大阪」 掲載