大きな災害や事故が相次いでいます。先月の15万人の死者を出したバングラデッ シュのサイクロンに続き、今月は多くの死傷者や被災者をもたらした雲仙の火砕流と相次ぐ自然の猛威にたじろぐ昨今です。バングラデッシュのサイクロン災害は低地の宿命だけでなく、最貧国ゆえに防災施設を造る財政力がないことも自然災害を大きくしているよう です。雲仙の被災者に対する援助は勿論の事ですが、バングラデッシュの国民についても政府がアジアの一員として積極的な国際貢献を果たすことを期待するものです。

 

 自然災害ではなく全くの人災が先月の信楽高原鉄道の事故。この鉄道は信楽町民にとって半世紀にわたって生活の足として親しまれてきました。JRの廃線に際し町民は信楽線を守る会を結成、乗車運動を繰り広げ行政が出資する第三セクター線として維持してきたものです。多額の補償により存続が危ぶまれていますが社会党は事故補償と存続を国に働きかけています。

 

  5年目に入った国鉄の分割民営化は時の流 れのように、また一見順調に見えますが、決 してそうではありません。今回の事故の背景には民営化の中で赤字口iカル線の切り捨て や安全よりも採算が重視されていく経営姿勢があります。「進むも地獄、残るも地獄」の苛酷な労務管理は今日も続いており、JR当局は地方労働委員会の中で多くの労働法違反が指摘され、元の職場に戻せとの命令が数多く出されてもこれを無視し何ら恥じることのない姿勢を取っています。国鉄清算事業団が引き受けた赤字もそのままです。今回の事故は国鉄問題が未解決のまま残されており、国民にしわ寄せされていることを示しているよ うに思えます。

 

「お元気ですか」21号 1991年6月