新堂からバイクで安威川の堤防を走る。川面には渡り鳥だろうか、白い鳥が群れをなして飛び交っている。ゆったりと釣り糸を垂れている人々がいる。冬になるとみられる安威川の風景である。 せわしい年の瀬を迎え自らの選挙を直前にしているものの、何かしら心の安らぎを覚えるひとときだ。 今も故郷に帰ると自転車を吹上浜に走らせてしまう。 そこには海鳴りが響き、砂丘に立つとはるか遠くに小島が浮かび、砂浜はなだらかな曲線を描き、そして万之瀬川が注ぎ込んでいる。浜辺からみる山の姿も何一つ変わっていない。故郷の山河に抱かれると、物心ついた頃からのさまざまな出来事を追想してしまう。そんな故郷を持つ私はつくづく幸せ者だと思う。 そんな私からみるとバイオ、コンピューター(本市でも小・中学校でコンビュータ教育が始まっている)、フロンガスにアスベスト、そして原子力発電、管理社会といった今の時代は人間の限界を超えたものに映って仕方がない。 一人の父親として子供達にもっとのびのびした社会を残してやりたいと思うこの頃である。
1988.12 ひろば No.46 「つれづれ」より
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