危険なスパイ防止法案

  

 “特ダネ”を書いた新聞記者、"国会の爆弾男"や評論家が、ある日突然タイホされる・・・無茶な?と思われるかも知れませんがいま自民党が国会に提出している「スパイ防止法案」が通れば、そんな時代になるのです。

 何が「国家秘密」かを決めるのは政府の勝手ですし国会議員の調査活動も大幅に制限されます。新聞やテレビが外交や軍事問題を扱うことも自由にできません。そもそも取材そのものが「スパイ行為」とされる恐れがあります。会社員も自分の仕事のこともうっかり話せなくなります。

 歴史に残る悪法といわれる戦前の「治安維持法」は戦争に反対したり、政府の政策を批判した人をすべて「国体に反対した」と断定し、軍隊と特高を使って国民の目と耳、口をがんじがらめにしました。もしこの「スパイ防止法」が通れば言論・表現の自由ばかりか民主主義そのものが全面的に圧殺されます。こんな法律を出してくる中曽根首相や自民党の感覚に恐怖を覚えます。中曽根内閣や自民党に高い支持率を与える事は自分で自分の首をしめるのと一緒ではないでしょうか。ともかくこんな悪法は一刻も早く葬りたいものです。

1985.8.5 社会新報より