先日議会の視察で神奈川の横須賀市に行った。早朝ジョギングする。市役所から2百mも走ると(後から分かったが)米軍基地がある。歩道から右に5m程入って体を動かしていると警備員と米兵がやってきて、「基地に入った。名前、住所、電話を言え」と詰問する。黄色いブロックが立入り禁止を意味するなど知る由もないジョガーでさえ軍には不審者である。敵か味方かの思考で動く軍隊にとって市民は邪魔者か不審者なのかもしれない。

 国内の米軍基地75%を占め、米兵の犯罪が相次ぐ沖縄は、生命そのものが危険にさらされており、息苦しさは横須賀の比でないだろう。米軍の下請けをしながら、戦争できる軍隊をめざす有事三法は、日本全域を沖縄、横須賀のように軍中心に変えていく。敵失と党派や労組の垣根を越えての共同行動によって継続審議となったが闘いはこれからだ。

 もう一つ息苦しさを感じさせるのが8月稼動の住民基本台帳全国ネット(住基ネット)、総背番号制である。神奈川県警の盗聴が問題になったのは過去の話で、今警察はNTTの正門から入って堂々と盗聴できる。メールも全て警察の傍受装置を通過する仕組みもできた。警察がのぞくと知ったら安心して電話もメールもできない。加えて住基ネットである。市民のプライバシーは支配者にとって監視の対象か邪魔物でしかないようだ。自衛隊の情報公開請求者リストは今でこそ問題になるが、有事三法の成立後は当然となっていくのかもしれない。

 この夏大きく有事法反対の輪を広げながら、あわせて住基ネットの問題も大きく取り上げていきたい。

2002年6月 「新社会大阪」掲載分より