忘れられた投票弱者

 茨木市議会で郵便投票の充実を求める意見書が採択された。これは投票の意欲を持ちながらも、難病や障害、高齢のために投票所に行けない「投票弱者」に、郵便投票を完全に保障するよう政府に求めるものである。

 在宅の寝たきり高齢者を、厚生省は全国で31万6千人と推計しており、茨木でも全介助を必要とする要介護度3以上は1180名になっている。またこれ以外にも、閉じこもりなど諸般の事情によって投票所に行けない有権者は多数存在すると見られる。

 選挙権は参政権の中心であり、国は当然に投票の意思を有する国民全てに投票権行使を可能にする制度をつくらなければならない義務がある。

 公職選挙法が定める投票は@投票日投票所で行なう投票、A不在者投票、B病院や福祉施設など指定施設での投票に加えて、C自宅からの郵便投票の4種類であるが、郵便投票が認められるのは身体障害で、歩行が困難と認められる人のみで、それ以外のケースは対象外とされている。

 なぜ投票意欲がありながら、投票できない有権者が多数放置されてきたのか。全国議長会に確認したら意見書の採択は全国で初めてとのことである。人権に関わることが長年にわたり放置されてきたことにいまさらながら驚く。私がこの事に関わるようになった当事者は国に対して賠償を求めて提訴、また政令都市の選管もこの7月に国に要望する。新社会党としても地方議会での意見書採択や国会への働きかけなど取組んでいきたい。

2000年7月 「新社会大阪」に掲載したものです