茨木市議会議員 山下けいきHP

 

財産区財産の処分について

の反対討論

2005年12月20日

 私は議案第76号、財産区財産の処分について反対の立場から討論します。

反対の理由は今回の議案が安威川ダム建設事業を推進するためのものであることです。

今回処分される8筆のうち、7筆がダムに沈み、1筆が左岸道路に関して必要とされるものであります。

 私はこの安威川ダムが、不要不急のみならず、豊かな北摂の自然である安威川を一変させるものであることを幾度となく指摘してきました。

建設予定地周辺地域は、豊かな自然環境があり、里山景観も残されています。ダム事業は一大土木事業であり、ダム本体工事、関連道路の建設、原石の採取など、ダム予定地のみならず、周辺環境に大きな負荷をかけることは言うまでもありません。現在の豊かな自然環境を象徴するものがオオサンショウウオ、オオタカ、アジメドジョウ、モリアオガエルなどの希少生物であり、これらは現在の豊かな自然環境と一体のものであります。これを失えば、これら希少種の持続的な生息が困難になることは火を見るより明らかです。

上流部の自然が破壊され、ダムができれば中、下流部の生態系にも悪影響を及ぼします。集水域の地盤のもろさや、採石場の存在による土砂の堆積、ダム堤体やダム湖の劣悪な地盤など、そもそもダムには適さない地質も、幾度か指摘した通りであります。

そもそも府が主張する安威川ダムによる治水効果は、想定を超える雨量になれば意味をなしません。また現在の安威川は時間雨量50ミリはもちろん、それ以上の対応は十分できており、ダムの効果は限定的なものであり、府民に過大な幻想を抱かせているに過ぎません。

また利水についても、わずか日量一万トンを確保する複数水源論は、子どもでも一笑に付す、こじつけでしかありません。

ダム構想から40年近く、多目的ダムに決定してからも34年が経過しながらダム計画に対する市民の理解と納得は得られるどころか、返って不要論が高まる情勢にあります。

これは府がイソップの狼少年のごとく、毎年毎年あぶないあぶないと宣伝している流域に住んでいる市民にアンケートをとっても3,4割しか回答が返らないことに端的に現れています。

回答でダム計画を知っているのは5割強、知らない人の4割強を一割すら上回っていません。しかも最も新しい調査では知っている人の中でダムはいらないと思う人が、いると思う人を上回る状況が出てきました。府がダムによって最も恩恵を受ける地域の市民ですら要らないといっているのであります。

利水量の縮小で経費節減とはいうものの、ダムと浄水場を合わせた総事業費が1409億円もかかる一大公共事業です。財政赤字を理由に福祉を大幅に削りながら、府民の理解も得られていないムダな事業は止めるべきであります。

以上の理由からダム推進の一環である財産区財産の処分について反対であることを申し上げ私の討論といたします。ありがとうございました。