茨木市議会議員 山下けいきHP

原発・核燃料輸送の防災対策を求める陳情

への賛成討論

1993/12/20

○6番(山下慶喜君) 私は、揺るがぬ信念を持った社会党議員として陳情書に賛成の立場から討論するものであります。

 本陳情書は、3点にわたり本市の取り組みを求めています。

 1点目は、高速増殖炉「もんじゅ」の事故の際の通報体制の確立についてであります。原発は、1979年のスリーマイル島での放射能検出事故や1986年のチェルノブイリ事故での全世界への放射能汚染を契機に、危険で時代おくれのエネルギーとの認識が広まり、高速増殖炉にいたっては、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスの各先進国が相次いで撤退している中で、日本だけが世界の冷たい視線を浴びながら「もんじゅ」で危険で愚かな行為に出ようとしています。我が国では、美浜原発2号炉でギロチン破断が起き、緊急炉心冷却装置ECCSが作動するという大惨事一歩手前の事故が発生しました。「もんじゅ」の危険性は、この美浜での軽水炉型原発の比ではありません。燃料に耳かき一杯で数万人を死亡に至らしめるプルトニウムを、冷却材にはナトリウムをそれぞれ用い、地震に極めてもろい構造など、冷静に事実を直視すればするほど、「もんじゅ」の稼働は危険そのものであります。幾ら資本主義社会とはいえ、一企業が利潤追求のために国民の命をもてあそぶことは、許されるものではありません。今回の陳情は、事故の際の通報体制を求めるものであり、当然のことであります。

 2点目は、核燃料輸送時の事前通告と、万一の事故に備えて消防施設を整備するための国の財政支援の要望です。これについては、全国市長会で国への要望決議が採択されたことは報道でご承知のとおりであります。名神を使っての核燃料輸送の危険性はこれまでも指摘してまいりましたが、8月4日、車5台が衝突、炎上、死者2名、重軽傷者5名を出すという事故が、核輸送車の目前で起き、本市からも消防車が出動するなど、危険は現実のものとなっています。今議会で山本市長は、名神を使っての核燃料輸送が危険であるとの認識を示されています。また消防長も、災害時には市民の命を守るため危険な第一線に立つ職員を抱える立場から、府など関係機関に粘り強く働きかけているとの答弁も出されました。行政がこの問題について市民の命と健康にかかわる重大事との認識に立ち、努力を続けていることに心から敬意を示すとともに、議会が全国市長会や本市行政の努力を後押しすることは、市民の期待にもこたえるものと考えるものであります。

 3点目は、地域防災計画の中に放射性物質対策も入れてほしいとの要望であります。風水害ならば事前の予想もでき、市民個々でも対処できることもないではありませんが、放射能は色もにおいもありません。もし「もんじゅ」が爆発し、プルトニウムが飛散すれば、その毒性が半減するまで2万4,000年もかかるなど、被害は半永久的に続くと言われています。本市は「もんじゅ」や美浜、高浜、大飯の原発がひしめき、原発銀座と言われる敦賀半島から100キロ圏内に位置しており、また、名神を使っての核燃料輸送も行われており、一たん事故が起きれば甚大な被害が予想されます。まさに地元そのものであります。国の半径10キロ圏内だけの防災対策は、民主主義の根本原則に対する挑戦であるとした小選挙区制度が、政権につけば性格が変わるかのように言う詭弁と同様、何の説得力もありません。想定される被害をできる限り小さなものに見せかけようとする政府の姿勢を改めさせる必要性は言うまでもありませんが、とりあえず被害を最小限に食いとめるために、自治体の地域防災の中に放射性物質対策も入れてほしいとの要望はもっともだと考えるものであります。

 以上、陳情の内容は陳情書にとどまらず、幅広い市民の声でもあります。市民の命と健康を守るために日々ご活躍されている議員各位の賛成を心からお願いいたしまして、賛成討論といたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)