茨木市議会議員 山下けいきHP

 

議員定数の削減に反対する討論

 

 私は茨木市議会議員定数の一部改正に反対する立場から討論します。

 

 私が反対する第一の理由は、議会はより多くの市民の意見を反映すべきだと考えるからです。32名の議員より36名の議員のほうが、より広く市民の意見を行政に反映できることは理の当然です。

 

 自治法では法定数を条例により、「特に」削減できる旨の規定があります。しかし「特に」の意味は、特別の理由に限ってと解釈すべきであって、ただ上限を定めているだけとの解釈は、法を軽視するものです。

 しかも本市ではその法定数44名を、既に8名削減しています。これを更に4名削減することは、法の精神を無視することにもなります。

 

 第ニの理由は、議会には行政をチェックする大きな役割が求められています。本市

では市長以下、約2000名の職員の皆さんが、一年365日、公務に従事されています。しかも市の職員は行政の専門家です。 これに対し、この仕事をチェックすべき議員は36名にすぎません。市の行政全般をチェックしようと思えば、36名の議員全員が猛勉強しても、なかなか追いつかないというのが私の実感です。4名削減することは行政をチェックするという議会の機能低下につながるものです。

 

 第三の理由は、地方分権が進み、自治体の権限と仕事は増える傾向にあるということです。このことは当然それをチェックする、議会の役割も大きくなることを意味します。

 議会の役割が大きくなる時に議員を減らすのは、さかさまではないでしょうか。これではますます議会の比重が低下することになります。

 

 第四の理由は、議会改革にならないからです。

 今回削減する理由として「議会改革」が言われています。しかしその方向性、具体性は抽象的で、何ら説得力を持つものではありませんでした。

 議会改革は、市民の議員を減らすべきだという背景にある、議会への不満,不信を解消するものでなければなりません。必要なのは行政との適切な緊張関係を保つことであり、積極的な情報公開や傍聴者サービスの改善を図るなど市民と議会との距離を縮めることです。

 更に特別委員会のやり取りで質問者、答弁者とも認めた公聴会や参考人制度の積極的な活用ではないでしょうか。この点で今回の議論は大いに有意義だったと感じています。 

 

 第五の理由は、市議会選挙の活性化につながらないからです。選挙は民主主義の根幹をなすものです。しかし昨今の投票率は市長選挙ほどではありませんが、投票率の低下傾向が進み、前回は46%にすぎず、五割を切っています。いつもの顔ぶれが、いつものように選挙するだけでは、なかなか投票意欲は湧きません。若者や女性、はじめて立候補する高齢者といった、新鮮な顔ぶれが大勢立候補することが、選挙への関心を高め、投票率の向上にもつながります。投票率が高ければ市議会への関心も高まり、市民と議会との間にも好ましい緊張関係ができるのではないでしょうか。この ことが議会の活性化につながることはいうまでもありません。

 

 この点で議員定数を削減し、ハードルを高くすることは、大きな組織候補はいざしらず、多くの市民の立候補意欲をそぐものでしかありません。この点からも議員の定数削減には反対するものです。

 

 また選挙が全てであり高得票者ほど人物評価が高いとの意見もありました。しかし何を投票基準にするか、有権者に問えば、支持する政党だから、同じ会社・同じ組織だから、地元だから、親戚だから、知っている人に頼まれたからというのも少なから ずあり、得票は人物評価以外の、さまざまな要素も含んでの集大成にすぎないことは議員各位よくご承知であることを申し添えておきます。

 

 第六の理由は厳しい財政状況にあり、議会も身を削って範を示すべきだということも削減の理由に挙げられておりました。しかし厳しい時代からこそ、議会がこれまで以上にがんばって、何がムダで何が必要かを見極めることが大事ではないでしょうか。議会費はわずかに0.9%、この中の4人分の経費を削ることよりも、残りの99.1%がどうなのかチェックすることが、市民が議会に求めている役割ではないでしょうか。行政のムダについても、提出議員の間で十分意見を交換し、あらゆる角度、視点から検討した。膨大な内容だったとの答弁がありましたが、その内容は一つとして明かにされませんでした。なお私はもとより議会費0.9%の使途についても論議すべきことについて異論をはさむものではありません。

 

 最後に定数を削減した議会で何ら支障は起きていない、議員は緊張感を持っており、かえって議会が活性化したとのご意見が出されました。しかし客観的な数字を挙げられてのものではなく、納得できるものではありませんでした。

 

 また議会の権威を高めることを強調される提案者もありました。私は議会が行政との緊張関係を保ち、行政へのチェック機能を果たし、市民の意見を本会議や委員会で反映するといった、市民が期待している議会本来の役割を果たせば、自ずと権威は高まるものであると考えています。

 

 以上の理由から私は議員の定数を削減することに反対するものです。議員各位のご賛同をお願い致しまして私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。