茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

子宮頸がんワクチンへの公的助成を含んだ補正予算への反対討論

2011年1月26日

 私は今回の補正予算に対して反対の立場から討論します。今回の補正予算は地域の活性化、安全で安心な市民生活の確保、教育環境の整備、雇用の創出など実施するとの説明を受けており、この点について私は何も反対するつもりはありません。
反対するのはただ一点、保健衛生施策として盛り込まれた子宮頸がんに対するワクチン接種に対して百害あって一利なしではないかと強い疑問を抱くからであります。

以下、その点について申し上げたいと思います。
まず、子宮頸がんによって国内で年間約3500人の女性が亡くなっていますが、このがんの最大の特徴は、予防可能な癌であるという点であります。子宮頸癌になる前の前兆として異形成といわれる段階があります。この病変は定期的な子宮頸癌検診の細胞診によって99%以上見つけることができます。

また高度の異形成や上皮内がんと呼ばれる初期がん(ステージ0)の段階で見つけて治療をすれば、子宮頸がんはほぼ100%完治し、治療後に再発することは、まずないといわれ、子宮も温存できるとされています。
がんはステージでその進行を表しますが、I期に入っていても5年生存率をみると、81.8%ときわめて高い数値を示しています。

 今、申し上げたようにワクチンを打たなくても細胞診検診によって99%以上という信頼性をもって見つけることができ、初期であればほぼ100%完治します。子宮がんを防ぐ王道が定期的な子宮がん検診にあることは明らかであります。おそらくワクチン推進者の中にもこれを否定する人はいないのではないかと私は推測しています。これだけの有効性を持つ検診を軽視してワクチンに頼るのは全くの邪道であります。これが反対の第一の理由です。

 しかしながら本市だけでなく全国でも同様ですが、王道たる子宮がん検診の受診率は低く、先ほどの答弁でも20%を切っており、無料クーポン券でも16%にすぎません。一方ワクチンの接種率は50%を想定しての補正予算であり、全く逆さまであるといわざるをえません。

またワクチンメーカーやワクチン推進者はワクチンの限界にふれ、検診との併用が必要といっています。しかし、痛い思いをしたワクチン接種に必要以上の安心感を持ち、ただでさえ低い受診率がおろそかになる側面も心配されるところであります。

二点目はワクチンの効果には極めて大きな限界がある点です。子宮けいがんの原因とされるウイルス・HPVは100種類ぐらいあり、そのうちで子宮がんと関わるハイリスクウイルスは15種類あるにも関わらず、このワクチン・サーバリックスが予防できるのは、16型と18型の2種類でしかなく、全ての発がん性ウイルスの感染を防げるものではありません。このことはメーカーも素直に認めているところです。

加えて日本人の子宮頸がんの原因は52型・58型が比較的多く、16型・18型は全体の約60%にすぎません。しかも18型は日本では自然治癒することが多いとされ日本人には予防効果がさらに限定されております。

ワクチンの効果にしても接種時に感染が成立しているHPVの排除、すでに進んでいる病変の進行予防効果がない、本剤の予防効果の持続効果は確立していないとメーカーの添付文書には書かれています。日本での持続効果を示す根拠がないのは先ほどの答弁の通りであります。
もちろんワクチン接種は定期的な子宮癌検診の代用にはなりません。以上述べた効果の限定的なワクチンを公費で接種する根拠はありません。

なおここまでの大前提は現在のワクチンが子宮けいがんの原因はHPVであるとの考えに立つものでありますが、この点についても2003年のFDA(アメリカ食品医薬品局)の文書では「子宮けいがんの原因がHPVでない可能性がある」とされており、その原因が十分に解明されているとはいえない状況があります。

三点目はワクチンの副作用の問題です。
質疑で紹介したように「子宮頸がんワクチンで副作用、失神多発」が起きていることが報告され、その中で厚生労働省自らが、最も多いのが気を失うほどの痛みによって失神・意識消失が多発としていると認めていますが、これは極めて重大な副作用だと指摘するものです。

またイギリスでの死亡例、アナフィラキシー様症状、精神神経系の副作用、流産の増加など報告されており、副作用の問題は看過できないものがあります。

アジュバンド(免疫増強剤)について、国は何の指摘もしていないとの答弁ですが、自然感染の11倍以上、6年間以上抗体を維持するという効果の反面、長期的な副作用においては、未知数としか言いようのないものだと指摘したいと思います。
 対象者は思春期にあり、これから成人女性として出産を迎えようとする段階での接種であり、慎重な対応が求められると私は考えます。

四点目はワクチン接種の費用対効果の問題です。
接種費用16000円のうち、ワクチン原価が12000円、3回接種で36000円と極めて高いワクチン単価であり、このことが公費助成を求める一因にもなってきました。

このような高額のワクチン原価を用いる以上、きちんとした費用対効果の試算があってしかるべきです。しかし国立感染症研究所が作成したこのワクチンに関するファクトシートでは「正確な子宮けいがんの罹患患者数および死亡数は把握されていない。また子宮けいがんに検出されるウィルス16型、18型の正確な割合も確定していない。そのため現時点では我が国でのこのワクチン導入の費用対効果の正確な評価は難しい」と表記されています。財政が厳しいと国も、自治体も言いながら、ワクチンは聖域になっているようです。
定期健診で100%、ワクチンをしても100%以上にならないのならワクチンがいらないのは理の当然です。

メーカーであるグラクソ・スミスクライン社は世界各国で販売活動を進め、4兆円のワクチンビジネスになっていると言われており、費用の大半がこの会社に回っていくことになります。なおこの会社は新型インフルエンザワクチンの購入先でもありました。

欧州会議の保健衛生委員長が「新型インフルエンザの大騒ぎは人々の健康を害しつつ大儲けするための、製薬会社とWHO世界保健機関も絡んだインチキだった」と発言しています。ワクチンがそれを受ける人の健康のためだけではなく、ワクチンメーカーの企業利益追求の色合いが極めて濃くなっていると指摘するものであります。

これまで述べた以外にも数々の問題点があります。
その一つがワクチン接種ありきの姿勢です。ワクチンを進めるにしても、現在のやり方は即、ワクチン接種であります。本来なら検診で、異常がないかを確かめる、またウイルスのチェックをして、2つ(16型、18型)のウイルス感染があれば対象から外すなどの対応が必要ですが、このような合理的な進め方とはなっていません。

また接種対象者である中学1年から高校1年生の女子に対して直接説明を予定していないなど、最初から当事者を無視したものとなっています。

昨今紙面をにぎわした肺がん治療薬イレッサ、B型肝炎、C型肝炎、薬害エイズの訴訟で明らかになった厚労省と製薬メーカーとの癒着、そして双方とも生命・健康に対する使命感の欠落を思う時、またもや子宮頚がんワクチン接種においても同じことが繰り返されるのではと私は心配しています。

以上、今回、初めて実施される子宮頚がんワクチン接種が必要性、有効性に欠け、一方で大きな副作用の危険性があることを指摘申し上げ、このワクチン接種を含んだ補正予算に反対するものであります。