茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

茨木市非常勤職員の報酬等に関する条例の制定についてへの反対討論 

2009年12月17日

 市長の今回の提案は、地方自治法第203条第2項の規定が日額を原則としていること、また、本年1月に大津地裁で行政委員の月額報酬は違法であるとの判決があったことから、月額報酬を日額報酬に改め、審査会の委員等についても見直ししたものであります。日額報酬に変更したことについては、素直に評価したいと思います。


 さて、今回の議案を考える上で、正直言って、判断に迷うことがありました。法では、その勤務に応じてこれを支給するとなっています。しかし、その勤務とは何なのかということであります。行政委員の活動は定例会、臨時会をはじめとした会議にとどまるものではありません。北摂や大阪府、時には全国的な総会もあり、教育委員に至っては学校教育、社会教育における地域の各種行事にも参加されております。教育委員ほどではないにしろ、他の行政委員にも同様の活動が存在しております。これらの活動すべてを精査し、何を勤務とするのか、勤務とすれば、その基準は何なのかが示されなければなりません。


 今回の条例改正案や資料の中には、日額対象については何も示されておりません。議員から問われて、各委員会が要請した日の見解が示されただけであり、また、各委員会で支給対象を決めていただくとの答弁があったにすぎません。しかし、議会に提案される以上、何が日額の対象になるのか示されて当然ではないでしょうか。


 委員会の答弁で、教育委員会の委員長75回、選管委員長55回、公平委員会委員長14回、農業委員会会長49回の数字が示されておりますが、この数字を言うのなら、その根拠となる勤務は何なのか、資料として提出するのが提案者の責務であると私は考えます。このような具体的な数字を示しながら、これから決めていただくというのは矛盾としか言いようがありません。何が対象になるのか、何ら具体的な基準が示されてない以上、判断しようもございません。しかも、答弁にあった各委員会が要請する内容は、現時点では、あいまいもことしたものであり、この基準を広義に解釈すれば、総額で現行を上回ることもないとは言えません。日額の対象が具体的に示されていないこと、これが反対する第1の理由であります。


 反対する第2の理由は、やはり高額過ぎるということであります。
 大津地裁の原告である吉原 稔さんは、提訴した理由を「1,500万のワーキングプアがいるのに、行政委員のノンワーキングリッチが税金を食っている」と言っています。確かに、行政委員には、日額報酬の対象になる会議やその準備だけではなく、それ以外の活動があり、また、これまでの豊かな知識経験や日々の研さんを積んでいることもあるでしょう。それゆえに、労働の対価というよりも謝礼金の要素もあるとの答弁に、私は一定の理解はするものであります。


 しかし、それはじっくり考えれば、行政委員に限らず、すべての仕事、すべての労働者にも程度の差こそあれ、当てはまるのではないかと考えます。日額報酬の対象には定例会、臨時会は当然、含まれると思いますが、その会議時間は、私の調査で、2008年度の平均で教育委員会が46分、選挙管理委員会35分、公平委員会51分、農業委員会20分であり、いずれも1時間以内におさまっております。このような1時間にも満たない会議時間でも日額報酬となり、教育委員で3万円になります。昔の川柳で、相撲取りは、「1年を20日で暮らすよい男」と言われました。春場所と夏場所の2場所だけの時代ではありますけれども、行政委員にも通じるものを私は感じます。


 また、大半の審査会委員の日額も7,400円から9,000円に引き上げられております。茨木市と違い、見直しに取り組んでいる他市の状況は、総額をできる限り抑制する動きとなっています。奈良県生駒市では半額に抑え、神奈川県では7割程度に縮小すると伝えられております。口を開けば財政が厳しいと言いながら、行政委員の報酬だけ聖域化するということでは、市民の理解は得られないものと考えます。


 以上、大きく2点の反対理由を申しあげました。議員各位の賛成をお願いして、討論を終わります。
 ありがとうございました。