茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

 

議案第57号 一般職の職員の給与に関する条例等の一部改正についての反対討論

今回の一部改正はおそらく対象者である、この議場におられる議員の皆さんにとって、賛否はともかく、まさに根耳に水のような唐突さを伴うものではないでしょうか。

もちろん提案される市長はじめ特別職の皆さん、また一般職職員の皆さんにとっても同様であります。

先ほど200年住宅という、想像もつかないほどの未来にまで住めるという優良住宅の話が出ましたが、今回の夏季一時金カットは一年前までは想像すらできないものでありました。

ご承知の通り、昨年夏までの日本経済は高度成長期の「いざなぎ景気」以上に長い好景気といわれ、あのバブル期を上回る莫大な収益を大企業の多くが享受していました。

それが昨年9月のリーマンショックを境に、100年に一度といわれる大不況が一気に世界中に広がり、外需依存型の自動車、電機産業など日本経済を牽引してきた企業も軒並みこの大不況の波に飲み込まれることになりました。

しかし大企業は史上空前にまで膨らんだ内部留保の取り崩しや、役員報酬、配当の引き下げで対応することなく、年末年始の派遣村にみられるように非正規労働者の雇止めから正規職員の賃下げ、解雇まで、全てを労働者にしわ寄せしていきました。

外需に依存し、全てを労働者にしわ寄せする企業体質が、国内の不況をさらに深刻なものにし、民間労働者の賃金低下を招いているのです。

なぜ公務労働者がこのような誤った経済政策や企業体質の責任を負わされるのか、まったく理不尽以外の何物でもありません。これが反対する第一の理由です。、

理由の第二は、人事院勧告の問題点です。
人事院勧告制度は公務労働者のスト権という労働基本権を奪った代償、見返りとしてつくられたものであり、公務労働者の利益を守る役割を担うのが人勧制度の本来のあり方であります。

それが、労働者の一時金カット、賃金引き下げを勧告するということは、この制度の趣旨にてらしても許されないことであります。
しかも今回は夏の一時金についてまでカットを勧告する異常さであります。これは財界の総人件費抑制や、与党が総選挙を前に公務員バッシングを政治的に利用する動きに人事院が迎合したものであり到底許されるものではありません。

理由の第三は、今回のカットによる減額があまりにも大きいことです。傾斜配分の凍結と合わせて、部長で33万7千円の減額、最も対象者が多い主査主任級で16万6千円、加算措置のない2級で4万5千円、1級で4万1千円となっています。削減率も部長で23.9%、最も率の低い1級でも9.3%とまさに未曽有の厳しい内容となっています。

職員から「計算したら約20万円の引き下げ、市は職員の生活を考えているのか」、「30年働いてきたけどこんな引き下げ初めてや」といった声が出るのも当然のことであります。

理由の第四は、先ほどの質疑で明らかになった人事院勧告に対し、本市自らの判断をすることなく、100%従うという本市の対応です。
今回の人勧はきつすぎるということから、相当数の都道府県では見送っています。また引き下げる場合でも、大阪府は0.2カ月を0.15カ月にするなど配慮しています。

地方自治の時代といわれる中で、地方自治体が自らの置かれた状況に合わせて独自の判断をするということは当たり前、普通のこととなっています。

傾斜配分の2年連続凍結に続く今回の引き下げは、職員の労働条件の極端な切り下げにつながるものであり、市独自の判断による緩和措置が必要ではなかったかと指摘するものであります。

理由の第五は、今回もまた職員組合との労使合意がない中での議会提案になっていることです。
さらに本市の場合、職員組合に組織されていない管理職を除く職員が他市に比べ、大きな比率を占めているにも関わらず、このような人たちの声を受け止めていく姿勢はまったく見られません。この点についても何らかの対応を求めるもの根であります。

最後に、内需拡大が景気対策として最優先されるべき時に、賃金カットはさらに景気を冷え込ませるだけだと指摘するものです。

以上、反対する理由を申し上げました。議員諸氏の賛成をお願いし私の反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。