茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

大阪府茨木市一般会計予算への反対討論

2009/3/26

 
私は議案第47号の新年度大阪府茨木市一般会計予算について、原案に反対の立場から討論を行います。

市長は今年度の市税収入が増収を見込んでいたものの、昨年秋以降の急激な景気の悪化によって、法人市民税などが急激に落ち込み、19億ほど減収になり、新年度の予算についても34億の減収になるとの見通しに立って、大幅な経常経費の節減に加えて、個人給付、団体への補助金、交付金の見直し、公共施設駐車場の有料化を打ち出しています。

しかしこれは大企業が巨額の内部留保はそのままに、株主配当や役員報酬に手をつけないで労働者にしわ寄せするのと大して変わらないものを私は感じます。「100年に一度」の財政危機を言えば何でもできるかのような福祉切り捨ての免罪符にしてはなりません。

私はこれまで一般会予算には一回も反対した事はありませんでした。しかし今回はあまりにもひどい市民負担の増大に抗議の意味も含めて反対するものです。

反対する理由の第一点目は弱者切り捨てにつながる内容であることです。
今回の予算では障がい者福祉金、特定疾患患者福祉金が50%カットにされます。ただでさえ、心身に障害を持っておられる方は生活に不自由を感じていらっしゃいます。
それに加え自立阻害法ともいうべき自立支援法に苦しめられ、不況になれば真っ先に首をきられるのが障がい者です。このような生活や就労の実態を無視するかのように、今回予算案では福祉金のカットだけでなく、訪問入浴やハートフルでのサービスを受ける際の負担も大きくなっています。

また高齢者については、敬老祝い金の対象から77歳が外され、高齢者世帯家賃助成の支給上限額も半分に減らされました。
高齢者の生活は負担の大きい後期高齢者医療制度に加え、頼りにならない年金、高い介護保険料と利用料の負担があり、自己責任という言葉が声高に叫ばれる中で公的責任はますます後退の一途をたどっています。
長生きしてもいいことはない、長生きするなと言わんばかりの政治です。だからこそ自治体が敬老を祝う意味はますます大きくなっていると私は考えます。カットだけで、代わりに何らかの代替措置が取られているわけでもありません。
敬老祝い金の縮小だけでなく、高齢者ふれあい入浴事業も廃止されるなど、今回予算は高齢者の楽しみを奪う内容だと指摘するものです。

二点目は市民負担の増大です。
中でも公共施設駐車場の有料化です。武士の商法ではありませんが、市が市民相手に、受益者負担を名目に駐車場経営で儲けようという魂胆がまず気に入りません。

文教委員会が所管する21施設を有料化するために新たに生じる負担は毎月571万2400円、一年間で6855万にもなります。はたしてこれを上回っての収入がはたして入ってくるのか。

文教の所管外の駐車場施設を入れて、毎年生じる負担を5千万上回る収入がはたして得られるのか、得られたとして、そんなにも市民に負担してもらうことが許されるのか、私は到底納得がいきません。

議案質疑でも指摘しましたが、ハートフルの場合は当初から赤字が予想されています。全体的にも収入が経費を下回るような事態も予想されますが、その際一億近い負担を強いられた市民にどう説明するのか、私はそんな心配もしています。

実施するにしてもハートフルや保健医療センターなど障害者のための施設、また命と健康に直接かかわる施設については、無料化を継続するなどの政策的な判断があってしかるべきではなかったかと私は考えます。

また市役所駐車場の有料化は庁舎内外の渋滞や、窓口が混む場合には、30分ごとの料金設定は利用者である市民、窓口で対応する市職員にも大きなストレスをもたらすと指摘するものです。

三点目はこれまで地域で努力されてきた市民との信頼関係を損なう内容だという事です。
 今回地域の生涯学習、生涯スポーツの振興に貢献してきた公民館関連の予算が大幅に縮小され、地域住民の負担も大きくなります。主事が減らされ、講座も、駐車場も有料化、地域行事に参加される方々の保険もなくなるなど地域の公民館事業の運営は一挙に厳しくなります。
小中学校・園施設の減免規定の見直しによる2000万円の徴収も、地域の文化・スポーツ活動の停滞をもたらし、コミュニティづくりにも逆行するものです。

ボランティアでこのような地域活動に参加されてきた方々にとって、今回の変更はまさに寝耳に水のことでした。新年度の事業に対する不安や一方では意欲の減退すら出てきています。今回の方針によって市政に対する信頼は大きく損なわれ、不信感は募っていると指摘するものです。

四点目は以上指摘してきた福祉サービスの低下、市民負担の増大について、当事者である福祉関係団体や地域団体に十分な時間をとって丁寧に了解を得るなどの努力がなされなかったということであります。
これまでいずれの団体も市と協調連携して、本市の福祉や文化、スポーツ振興に努力されてきました。市税の落ち込みがいかに急激だったとしても、あまりにも拙速すぎると指摘するものです。

五点目に「市民にだけ負担を強いることはできない」と市職員についても労働条件の切り下げを強いる内容になっていることです。市職員の数は定数条例など条例で定める定数の2199人に比べ、今年4月は1714人と485人も少なくなり、条例の77.9%まで減らされます。

人件費を見ても2000年を100とすると、2009年は81にまで減らされ、一方臨職の人件費は2000年を100とすると、2009年は143に増えており、正規から臨職への置き換えが急速に進んでいます。 
しかしその臨職の待遇はフルタイムの場合でも、ワーキングプアの基準とされる年収200万以下が多く、官製ワーキングプアは他人事ではなく市役所はまさに当事者であります。

内需拡大を損なう財界の総賃金抑制政策に加担することのないよう、また「市民にも市職員にも無用の負担を強いることのないよう強く指摘するものです。

縷々反対の理由を申し上げましたが、もちろん予算の中で、こども関連の予算など評価する部分もあることも申し添えておきます。

最後に市財政を逼迫化させているのは、小泉内閣以来の地方切り捨ての三位バラバラ政策により、地方自治体への財政補助が大幅に削減されたからであります。
今回の大不況の要因も外需依存体質にどっぶりと浸かってきた企業とそれを後押ししてきた政府の経済政策にあります。
高額所得者や大企業への優遇税制や、全国のダム・港湾・空港事業、また自衛隊・米軍関連予算など削れば財源はいくらでも捻出できます。税金は余裕のある富裕層や内部留保のある大企業から取るのが大原則です。

市税収入が34億落ち込むといいますが、今回の定額給付金は事務費も入れて42億もあり、これだけでも自治体が自由に使えるようにすれば市民負担を求める必要はどこにもありません。国の財政政策を変えさえすれば、いくらでも展望は開けてくると指摘するものです。

最後になりますが、地方自治体としての矜持を持って国や府に対して、言うべきことはきちんと言ってほしい。国の財政政策にも苦言を呈すべき時は勇気を持って発言してほしい。そのことを最後に申し上げて私の討論とします。ご賛同いただきますようよろしくお願いいたします。ありがとうございました。