茨木市議会議員 山下けいきHP

 

茨木市職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正に

反対の立場から討論

2007年12月18日

私の反対する第一の理由は誤っている国の姿勢が背景にあるからです。国として過密労働を解消して過労死を無くし、世界の流れである労働時間短縮をリードしていくのが本来取るべき対応だと考えます。ところが今回の人事院の動きは民間で休息時間がとられていないことを理由にして、国家公務員から休息時間を取り上げ、合わせて地方自治体に休息時間の規定を削除しろと指導しています。

しかし民間に休息時間が全くないのではなく、人事院が対象としている規模の企業において、6%近い企業では休息が保障されています。問題にすべきは休息時間を民間に広げるための努力を怠ってきた国の怠慢です。その努力もしないで労働条件の劣悪な民間に公務労働もあわせよというのは全く逆立ちした論理であります。

反対の第二の理由は道理なき今回の休息時間廃止に対して、市が職員の健康管理や労働条件の改善に取り組むことなく、そのまま踏襲するという姿勢についてであります。
「国に準拠」という考えは上意下達そのものであり、自治体の自主的判断を忌避するものであり、到底是認できるものではありません。議案の審査の中で国が休息時間を廃止したのに、茨木市がこれを残しているのは市民のコンセンサスを得られないとの答弁がありました。

しかし私は逆に労働時間短縮や休息時間取得を民間企業に働きかけるべき国が休息時間をなくしたことのほうが国民、市民のコンセンサスを得られないとの立場をとるものであります。

反対の第三の理由は休息の制度そのものを有効と考えるからであります。国自らが休息は勤務中における軽度の疲労を回復して、その後の公務能率の増進を図ることが趣旨であると説明してきました。休息を取り、市民のために元気によい仕事をする、なんの問題もありません。

さらに本市では全ての職員にパソコンが導入され職員のストレスはさらにふえる状況にあります。このような職場環境の変化に伴いメンタルサポートが必要なケースがふえています。その中で、休息時間の必要性は高まっても低下することはないと私は考えます。

反対の第四の理由は、休息時間は休憩時間と違って職務専念義務は外されているものの、必要に応じ、上司の命令によって仕事に復帰しなければならない時間であると国が説明してきた点にあります。つまり拘束されない休憩時間とは区別してきたのであり、これは十分労働時間に含まれる性格を有するものであります。

本市はこれまで休息時間15分、休憩45分で昼休み1時間を長年労使慣行でやってきました。それでも昼休みに窓口を開いていることから市民に何の迷惑もかけておりません。
問題があるとすれば労使が休息時間と休憩時間を区別してこなかった点にあると私は考えます。

反対の第五の理由は職員団体との合意がないままの提案であることです。
議案の審査の中で二つある職員団体のいずれとも合意されていないことが明らかになりました。私は一方的な提案に賛成することはできません。

また本市においては重要な労働条件の変更であっても労使協定を結ばない慣行があることが判明しました。私は労使双方が合意した内容は協定を結び、第三者も含めて相互確認できるようにするのが当然の対応だろうと考えています。きわめて前近代的な労使慣行だと指摘するものであります。

日本社会においては久しく、企業の門をくぐった途端に憲法も労働法も雲散霧消するといわれ、労働者は弱い立場におかれています。規制緩和と弱肉強食の新自由主義路線の中で、年々格差が拡大し、非正規労働が増えています。ただでさえ働くものの権利が奪われ後退している今、本市がこの流れに抗することはあっても組することのないよう意見を申し上げ私の反対討論といたします。ご静聴ありがとうございました。