茨木市議会議員 山下けいきHP

 

「経費削減を理由にした給食の民間委託はやめて

市直営の安心・安全・おいしい学校給食」に関することについて

賛成討論

2007年12月18日

私は「経費削減を理由にした給食の民間委託はやめて市直営の安心・安全・おいしい学校給食」に関する請願第3号に賛成の立場から討論いたします。

請願の一点目は保護者、地域住民の声を十分聴きながら学校教育の一環として給食を位置づけあるべき姿を検討してくださいというものであり、この点はどなたにもご賛同いただけるものと思います。

二点目は民間委託をやめ市直営の学校給食を継続してほしい。というものです。
 まず安上がり民間委託では現在の安心・安全でおいしい茨木の学校給食を維持することは困難であることを申し上げたいと思います。

本市の学校給食は、これまで食中毒など起こすことなく無事故のまま今日に至っています。また他市に比べ食べ残しが極めて少なく大阪府内の給食関係者からも高い評価がなされています。

これは現場の給食調理員が安心・安全はもちろんのこと、おいしい給食をめざして、春夏秋冬の四季に応じ、また当日の天気や学校行事までも頭に入れて火加減や味の濃淡を加減するなどの努力をしているからです。

その現場の給食調理員の熱心さに、私は幾度も感動し本当にありがたいと頭の下がる思いをしたものであります。その給食のおいしさは児童、教職員はもちろん民営化担当の教育総務課の皆さんも認めているのではないでしょうか。

またメニューも食堂のように限られた少ないメニューではなく、毎日違うものを短時間に大量に作る学校給食は高度な専門職であり、誰にでもおいしい給食ができるわけではありません。献立と食材が一緒であれば同じものが作れるというのは現場を何も知らない人間の言うことであります。

この専門職としての経験と技術はきちんとした労働条件が支えてきたものであります。また給食の出来不出来は現場のチームワークが大きな要素を占めると聞いています。安上がりの民営化で、重労働にもかかわらず安い時間給となれば、調理員が定着するわけはありません。入れ替わり立ち代りではチームワークどころではなく、これまでの質を確保することは望みようもないことを指摘したいと思います。

 民間委託の次の問題点は偽装請負の色合いが極めて強いことです。
1986年の労働省告示37号では労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準を定めています。
これまで学校給食は校長、教職員、栄養士、調理員が緊密な連携を取りながら日々運営されてきました。給食現場でのチームワークだけでなく学校全体でのチームワークによっておいしい給食が保証されていたといえます。

しかし民営化で請負契約となれば、学校長、栄養士が現場で業務に関して指示することは労働者派遣法の適用となり、請負の独立性を損ない、違法と判断されます。

また請負は単に肉体的な労働力を提供するものでないこととして、
自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材、又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。もしくは自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理することの条件を満たさなければならないとしています。

兵庫県の篠山市、丹波市、滋賀県の湖南市ではこれらの基準を満たさず偽装請負の疑いを指摘され、給食の民間委託が見送られています。本市の場合も同様の問題をはらんでいると指摘せざるを得ません。

請願の三点目は中学校の昼食に注文弁当方式ではなく、学校給食法に基づく給食を実施してほしいというものです。

私はまず子どもたちのおかれている食の状況がどうなっているのか、この点について申し上げたいと思います。趣旨でも触れているように、欠食、偏食、肥満など極めて憂うべき状況が子どもたちとりまき大いに心配される食環境といわなければなりません。

大阪府は、昨年度から「食育推進計画検討会」を開催し、今年決定された食育推進計画では、現状について食生活と関連が深いがんや心疾患などの死亡率が全国に比べて大阪では高いこと。全国に比べて子どもの朝食欠食率が22.3%と高い数値にあると述べています。

また野菜の摂取量が少なく、特に若い世代の野菜摂取量が少ないと指摘しており、朝食をとっていてもその内容は安心できるものではありません。このことから学校給食の充実を方針に掲げています。

食育基本法が制定され、食育が国民的な課題になる中で、その中心は次代を担う子どもたちの食に関する環境をいかに改善するかになっています。中でも学校給食の重要性が再認識され、そのあり方が大きな関心を呼んでいます。
過日の大阪市長選では当初、共産党候補が中学校の学校給食の全面実施を掲げ、その後に民主党が応援した候補が中学校の学校給食を検討するとの公約を掲げて当選を果たしました。

また新春早々に行われる大阪府知事選挙で自民党、公明党の担ぐ可能性の高い候補者が中学校の学校給食の実施を公約に掲げています。おそらく全ての有力候補が学校給食の充実を公約に掲げるものと思われます。
まさに給食の充実は超党派的課題になっていると実感しています。

このような状況下で、本市は中学校の昼食に注文弁当方式が採用し、すでに2校で実施されています。しかし利用者数は低迷しており、生徒や保護者が歓迎しているとは思われません。

学校給食法の第2条には学校給食の目標として
@日常生活における食事について正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
A学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。
B食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。
C食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと
が掲げられています。

しかし注文弁当方式は学校給食法に基づく給食ではなく単なる昼食に過ぎず、この目標を達成するためのものではありません。この点からも不十分だと指摘せざるをえません。
また献立、食材購入、調理施設、調理業務は基本的には業者の責任となり、自治体の関与は制限を受けることとなります。

 全国では8割の中学校で学校給食を実施、そのうち完全給食の実施率73%に対し、大阪の実施率は9%に過ぎず大きな問題となっています。

 財政が逼迫する中で給食施設設備費にお金はかけられないとの議論がありました。しかし一方ではいくらかかるか分からない市民会館の立替構想が議論されています。もしそれだけのゆとりがあるのなら、市民会館よりは中学校の学校給食の方が優先課題だと私は考えますがいかがでしょうか。

先日私は鹿児島に帰りました。地方は財政的にみれば本市とは比べようがないほど厳しいものがあります。それでも学校給食は小学校、中学校とも当然のこととして実施されています。また全国的には施設の老朽化に伴う建替えも当然のこととして進められています。本市より財政難の自治体が大多数でありながら全国の自治体では当たり前のこととして学校給食法に基づいた完全給食を実施しているのであります。

人間が生活していくための基本として衣食住がありますが、子どもたちの食を保障するための経費は必要経費だと多くの自治体が考えているからではないでしょうか。

本市の会議録を検索しますと市が検討し始めたのは2年前からであります。直営方式、センター方式、弁当方式それぞれ検討したとの答弁はありますが、具体的な数値まで示しての議論はなかったように思えます。

最近では生駒市の市民派市長がセンター方式から自校方式への転換を公約に掲げて誕生したように、一時期大量調理のセンター方式がもてはやされたことがもありましたが、少々経費はかさんでも自校方式のよさが再認識されているように思えます。

言うまでもなく学校給食法では第七条において国は、公立又は私立の義務教育諸学校の設置者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することとし、施行令では経費の二分の一の補助を定めております。給食は国、大阪府からの費用負担もあり、市が全部持ち出す性格のものではありません。

最後に給食よりも親が弁当を持たせることで生徒が親の愛情を感じることができるという「愛情弁当論」の議論もありました。そのことも大事だと私は考えます。しかし子どもは弁当のみによって親の愛情を享受するものではありません。親の働く姿を見て尊敬と愛情を持つ子どももおりますし、給食の実施や子ども署名で頑張る親の姿に愛情と誇りを感じる子どもも多いと私は考えています。

いささか長かった点はお詫び申し上げますが、請願にはぜひともご賛同いただきますようお願いし、私の賛成討論といたします。ありがとうございました。