茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

使用料、手数料引上げ反対の討論

 

 私は、議案第62号から79号のうち、72号、76号を除くものについて、反対の立場から討論を行うものであります。

 

 なお、72号、76号で、駐車場利用料の引き上げに賛成するのは、いたずらなモータリゼーションではなく、公共交通の利用や徒歩や自転車などの利用を促すためであることを最初に申しあげておきます。

 

  さて、今度の改正は、手数料を一律100%、使用料を30%引き上げるものであります。今回、理事者は、議会の求めに応じて引き上げの根拠として、庁内の行政改革推進プロジェクトチームがまとめた使用料・手数料についての報告書を提出しました。このチームの中心テーマは、受益者負担の適正化に関することであります。私は、この検討に携わった人の労をねぎらうものでありますが、その結論については納得することができません。

 

  この報告書の何よりの問題は、引き上げの根拠として受益者負担を強調し、利用する人と利用しない人を対立するかのように描き出し、受益者には応分の負担を強いるのは当然だとして、大幅な引き上げを正当化している点であります。  報告書は、使用料について公費負担と受益者負担の割合は、複雑化を避けて簡易な制度とするため、ゼロ%、50%、100%の3種類の組み合わせで、4分類にしています。

 

 しかし、これは極めて安易な態度と言われなければなりません。この安易な態度は、一律に使用料を30%とする姿勢にもうかがえるものがあります。20年前の料金を正確無比と言わんばかりに、一律にアップしております。例えば、福祉文化会館の各部屋の利用率に大きな格差が生じているにもかかわらず、利用実績と使用料との関連について、一顧だにすらしていないのであります。しかも、手数料に至っては、この4分類すら存在せず、負担割合を定めるに当たって、受益者個人の必要に応じて生じてくるものであるから、受益者の負担割合は100%にするとの考えをとっています。

 

 自治法の権威である中島正郎さんは、手数料について、特定の者に対するサービスであるとしながらも、その内容によって無料主義、一部弁償主義、実費弁償主義、収益主義の考えがあるとしています。さらに、一般住民が利用しなければならず、かつその利用者が特別な利益を受けないようなもの、及び救貧を目的とするものは無料主義としています。このような観点からの検討は何一つなされておりません。

 

 手数料のうち、昨年度、14万2,000件と最も多い住民票の写しにしても、その目的は、年金、相続、扶養申請、児童扶養手当、自動車登録、学校や幼稚園への提出、免許やパスポートの申請、金融機関への提出などであります。この実態から見れば、手数料は、市民が社会生活を営む上で必要かつ不可欠なものであり、市の報告書が言うような受益というような概念にはなじまないものであります。 これはその他の手数料にも言えることであり、殊さら利用する者と利用しない者とを対立するかのように描き出すことは極めて問題であると指摘せざるを得ません。

 

  私は、日ごろから100%の善人や悪人が存在しないように、すべて物事は複雑でそう簡単に割り切れるものではないと思っています。たとえ問題であったとしても、複雑多岐にわたる使用料・手数料を個々の性格に応じ、負担割合はもっと細分化すべきであると考えます。今回、簡易な制度にするためとはいえ、使用料を4分類で行い、手数料に至っては、受益者の負担割合は100%だけしかないとしたことは極めて安易であり、使用料・手数料の個々の性格からも大きく逸脱するものであるということを再び強調せざるを得ません。

 

  今、長引く不況下にあって、企業倒産、リストラを口実にした首切り、失業が戦後最高の水準にあり、また、賃金も引き下げられております。市民生活がだんだん苦しくなる中で、見直すべき安威川ダムや国文都市開発はそのままに、市民に負担を押しつけることは、到底認めることのできないものであります。このことを最後に申しあげ、私の使用料・手数料引き上げ反対の討論といたします。(拍手)