茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

茨木市国民健康保険事業特別会計決算認定について、

賛成の討論

1983年9月

  認定第2号 昭和57年度大阪府茨木市国民健康保険事業特別会計決算認定につきまして、賛成の立場から意見を申し上げたいと思います。

 ご承知のとおり国民建康保険法では、国保事業の建全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とされておりますが、本来的には相互扶助の精神に基づき、被保険者の疾病、出産及び死亡の場合に保険給付を行うことにより、その経済的負担の軽減を図り、市民福祉の向上と生活の安定に寄与するものであり、これに必要な費用については保険料と、国庫支出金で賄うのが原則となっております。 

 

しかしながら医療保険制度の現状を見ましたときに、医療費は1955年に2、700億円余であったものが、1970年には、2兆5、000億円を超え、今年度は14兆5、000億円が見込まれるなど、毎年1兆円規模でふえ続け、医療保険を取り巻く情勢はまことに厳しいものがあります。

この中に占める薬剤費の割合は1960年に2割であったものが、現状では5割前後に達し、医療費増大の大きな要因となっておりますし、また高価な医療機器を使っての検査の急増や、医療機器の生産額の増加等をも、医療費増大の大きな要素となっております。

 

まさに製薬企業、医療機器産業こそ、日本の代表的成長産業であり、現行の出来高払いという診療報酬制度の中で大きな利潤を得ているのであり、先般の藤沢薬品の産業スパイ事件も、この制度の中で起こったものと考えられるのであります。

 

薬づけ、検査づけにつながっているこの出来高払いという現在の診療報酬制度の検討を始め、予防にまさる治療なしと言いますけれども、治療中心主義から予防重視と、日常の健康管理を基本に据えた保健医療思想の実践、住民参加の医療実現に向け、国、府はもちろん、本市においても制度の改革及び運営の両面にわたり取り組むべき課題は少なくないと考えております。

 

さて昭和57年度の本市の国民健康保険事業特別会計決算を見たとき、増嵩する医療費に対し、医療費抑制策としてこれまでも医療費通知を初め、レセプトの縦覧、点検業務を強力に取り組まれ、医療の適正化に努められている努力には評価をするものでありますが、特に昭和57年度は国保財政の運営が大変厳しい状況でありながら、被保険者負担の軽減を図るため、保険料の料率は前年度と同様に据え置き、限度額も国基準が27万円にアップされたにもかかわらず、わずか1万円のアップで24万円とされたこと、さらには葬祭費では2万円のところ3万円に引き上げ、給付内容の改善を図られたこと、また一方保険料の収納率が見込みより下回り、また国支出金の交什率が相当低下したため、これらの不足分を一般会計よりの繰入金で大幅に増額し、収支の均衡を維持されましたことにつきましては評価するものであります。

 

しかしながら保険料は適正な賦課とあわせて、収納成績を向上させることが国保事業の根幹をなすものであり、現年度分においては若干の伸びはあるものの、平均としては低下している状況を踏まえ、今後の収納率向上には一層の努力を図られるとともに、国庫支出金の確保についても政府、関係機関に強力に働きかけ、財源確保に最善を尽くされるよう望むのであります。また老人保健法が施行され、老人の医療費については別建てとなったものの、医療費は依然として増加する傾向にありますので、引き続き医療費の抑制についても格段の努力をお願いするものであります。

 

 以上まことに簡単ではありますが、昭和57年度大阪府茨木市国民建康保険事業特別会計決算認定につ。きまして意見を申し述べ、賛成討論といたします。何とぞ議員各位のご賛同をよろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)