2001年

安威川ダム特別委員会(5月24日)

○山下委員 委員会もそんなにあるわけじゃありませんので、これまで質疑してきたこともありますけれども、改めて幾つかお聞きをしたいと思います。

 安威川ダムがなぜ必要なのかということが、これはもう計画が発表されて以来、今日に至るまで、いつも市民にとって納得がいかないといいますか、ストンと胸に落ちないという状況が、ずっと続いているわけです。きょうはその中で幾つかありますので、お聞きしたいと思います。

 まず、第1点目に水需要の関係です。大阪府の第7次拡張計画が、見直しをされるということになりました。265万トンから253万トン、こういう形で下方修正ということになるわけです。聞いておりましたのは、265万トンの場合に、淀川水系、これが233万トン、それから紀の川から持ってくるのが25万トン、安威川ダムで7万トンと、こういう数字だったと思いますけれども、下方修正ということになりますと、これは一体どういう形で変化していくのかと。安威川ダムの7万トンというのはこのままなのかどうかということを、お聞きをしたいと思います。

 それから、第7次拡張計画については、今回、初めての見直しではないと聞いているわけですけれども、第7拡はこれまで幾度か変更があったのか、変更があれば、いつ、どういう形の変更があったのかということを、まず聞きたいと思います。

 以上です。

○江原ダム推進課参事 まず、水需要に関しまして、大阪府の第7次拡張計画、1日265万トンから253万トンに修正された点について、お答えさせていただきます。

 265万トンの水源でございますが、淀川水系233万トン、紀の川25万トン、安威川7万トンにつきましては、先ほどご質問の中で述べられたとおりでございますが、そのうち紀の川水系で12万トンを減じまして253万トンとなると聞いております。

 それともう1点、第7次拡張計画につきまして、途中年度における変更があったかどうか、第7次拡張計画の途中で変更があったかどうかというご質問だったかと思いますが、途中経過でどのような変更がなされたかということについては、私ども、府の水道部の内容については承知しておりません。

 以上でございます

○山下委員 紀の川の分を12万トン減らして下方修正するという方法ですけれども、私たちは、安威川ダムの7万トンというのは、わざわざこれだけの拡張計画の中で安威川ダムをつくって、しかしこれも幾らかかるのか、今もってはっきりしていませんけれども、約1,000億円程度、その中の利水部分ということですけれども、膨大なお金を費やしてまでここで水を確保する必要がないんじゃないかというのが、市民感覚になっているんじゃないかなと思うんです。ダムで利水ということが減れば、一つは財政的な負担も減るだろうし、それから規模が小さくなることによって、周辺の自然環境に与える影響も小さくなっていくんじゃないかと、そういう点でありますので、大阪府がダムも含め水の計画も含めてやっているわけですけれども、この点について、やっぱりダムを見直すという形の検討というのは、一切考えないということなのかどうか、今からつくっていくダムですから、できる限り小さいもののほうがいいんじゃないかと、むだなお金を使う必要もないんじゃないかという観点から、紀の川の分を減らすというのも結構ですし、安威川の分も減らして、全体的に水需要が伸びる方向にはないというふうに思いますので、さらに下方修正を働きかけていくという観点が必要かと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

 それから、私もちょっとわからないんですけれども、過去の修正、当初、過大な水需要の見積もりというのがあって、順次削減してきた、下方修正してきたんじゃないかと思いますけれども、これはきょうわからなくても結構ですけれども、後でまた知らせていただきたいと思います。  以上です。


○江原ダム推進課参事 大阪府の水需要につきましては、第7次拡張計画を策定いたしました昭和55年度に立てられたとお聞きしておりますが、今回それの見直しということで、将来の水需要の予測をなされた上で、265万トンから253万トンに減じられたとお聞きいたしております。

 以上でございます。

○山下委員 次にいきますけれども、堆砂の関係でお聞きしたいと思います。

 当初から、砂がいっぱいダムにたまっていって、本来の目的ということが果たしていけなくなるのではないかということを、私はずっと言ってまいりました。改めて、安威川ダムの堆砂の問題、具体的にどういったものを要因として検討されてきたのかということで、お聞きをしたいと思います。

 それから、2年前のダムの委員会の中で、要するに6月の末に大雨になりまして、安威川の景観が一変するという状況が起きました。この中で、あれだけの土砂は一体どこから来たのかという質問をさせていただいたわけですけれども、大阪府のほうも含めて、検討したいという答弁をいただいたわけですけれども、これについて改めて、その砂は一体どこからどういう形で流れ込んできたのかという点について、お聞きをしたいと思います。
さらに、採石場の問題ですけれども、上流に9カ所あるというような答弁が過去になされております。広さが158ヘクタールというのも、当時のダムの委員会の記録を見ましたら載っているわけです。これは変更がないのか、このとおりなのかということで、改めてお聞きをしたいと思います。

 あわせて、採石場を経営している企業の名前、それから操業はいつぐらいから始まったのかということ、それから既に操業停止されているところもあるやに聞いておりますけれども、操業しているのか、もう既に停止されているのかということ。それから、私はよくわからないんですけれども、採石場を操業している場合と停止している場合と、堆砂という点で言いますと、それはどちらのほうが大きいのかどうか。もしわかっておればお聞きをしたいと思います。

 とりあえずそれだけお願いできますか。

○江原ダム推進課参事
 まず1点目の、堆砂容量の算定方法でございますが、安威川ダムの全体計画書によりますと、安威川ダムの計画堆砂量につきましては、まず近傍ダムで設けられました既設の貯水施設から類推する方法が1点、算出する計算式がありまして、それによる方法が1点、堆砂量に影響する因子との関係を調査資料から統計的に処理して求める方法の3手法で検討いたしまして、その3手法を総合的に判定した結果、計画比準砂量、1年間、1平方キロメートル当たり300立方メートルが流出されると算定されております。これによって安威川ダムの計画堆砂量は比準砂量300立方メートルに集水面積52.2平方キロメートルを乗じまして、100年分の堆砂量としまして160万立方メートルを見込んでおるというふうになっております。それがまず1点目の質問でございます。

 それと、3点目の採石場で、平成5年の委員会のときの、面積が158ヘクタールで、今がどの程度になっているかという質問でございますが、158ヘクタールが総面積であるのか、あるいは現在稼働している面積なのかというふうには、ちょっとよくわからないんですけれども、平成13年3月末現在におきます、大阪府からいただきました資料によりますと、現在、大阪府域、京都府域でダブりが二つございますが9事業所。二つがダブっておりますので、実際には7事業所でございますが、9カ所で約179ヘクタールが総面積となっておると聞いております。そのうち、実際に掘削しておる面積でございますが、大阪府域におきましては約18ヘクタールというふうにお聞きいたしておりますが、京都府域におきましては、大阪府と京都府の届け出の書式が違いますことから、総面積のうちの掘削面積がどの程度になっているかということについては、把握できておりません。

 それと、現在、操業しております採石場の名前でございますが、まず大阪府域でございます。住鉱辰巳建材株式会社、株式会社大阪砕石工業所茨木工場、株式会社井上商店、茨木砕石株式会社、高槻砕石株式会社茨木工場。大阪府域が以上の5事業所でございます。京都府域でございますが、先ほども申しました茨木砕石株式会社、高槻砕石株式会社茨木工場、宇部砕石工業株式会社、京阪砕石株式会社、以上の4事業所でございまして、9事業所でございますが、茨木砕石と高槻砕石につきましては、大阪府域、京都府域に双方にまたがっておりますので、流域としましては合計7事業所が稼働しておると聞いております。

 平成11年6月豪雨における安威川における堆砂が、どこからどこに流れてきたのかということにつきましては、実際その因果関係というものが、はっきりと把握されておりません。その後の大阪府の状況でございますが、安威川にかかわりませず、大阪府下の堆積土砂の状況につきましては、おおむね5年に1回、堆積土砂の状況を把握いたしておりまして、優先順位をつけまして、順次堆積土砂の除去を図っておるというふうに聞いておりまして、それが前回に行われましたのが平成8年度に、大阪府下河川の堆積土砂の状況を把握したとお聞きしております。その後、個別にはやっておるものの、平成11年6月の出水で、それがどのように変わったかということについては、大阪府のほうにおきましても、諸事情から把握できていないと承っております。

 以上でございます。

○山下委員 2年前の6月豪雨の際の調査が、今もってなされていないということだと思うんです。安威川に行かれた方というのは、あの状況を見た場合、やはり大量の土砂が、安威川というのは流れ込んでくるところやなという、印象が強かったんじゃないかなと思うんです。ダムをつくった際に、ああいった形で土砂がどっと流れ込んでいくということになりますと、とてもじゃないけれども160万立方メートルというような土砂量ではないと。100年ですから、100年間でたったそれだけというふうには、だれも思わないんじゃないかなと思うんです。

 そういう点で、私は、ああいったことが既に目の前で起こった以上は、堆砂との関係できちっとした調査が要るんじゃないかなと思うんです。やっぱり、どこから来たのか、それからどれぐらいの量だったのか。あのときの雨量が、今、私は手元にありませんけれども、あれだけの雨が降って、あれだけの土砂がたまるということは、当然もう堆砂の計算の中に組み入れていくべきやと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

 それから、採石場の広さですけれども、前回委員会の中で答えられた数字よりも、さらに拡大しているということですか、179ということで言いますと。さらに堆砂という点で言うと、一つふえる条件が出てきたんじゃないかなというふうに思っています。それから、新たにまたお聞きをしますけれども、もともと1967年7月の災害のときに、どういう状況やったかと言いますと、297カ所の山崩れを含む600カ所の山地損壊箇所というのが、茨木市の中で起こりました。集水区域でいうと、これは52.5平方キロメートルですから、これが全部そこにあるわけじゃないですけれども、これだけの状況が起きているわけです。時間雨量、これは85ミリなのか82ミリなのかわかりませんけれども、その程度の雨が降った場合に、どれだけの土砂が流入するかということを考えていく場合、やはりあれだけの災害をもたらせた67年当時、集水区域の中でどういう状況が起きたのかということの把握は要ると思いますけれども、そういった点についても考慮されているのかどうか、お聞きをしたいと思います。

 それから、堆砂の関係で言いますと周辺の地質、集水区域内でどういうことが行われているかということも、大きな要素だというふうに思っています。安威川ダムの全体計画(案)というのを見てみますと、生活再建ということも含めて、新しい道路もいっぱいつくられておるということです。集水区域内の新しくつくられる道路というのを見た場合に、左岸の道路でありますとか、大岩線でありますとか、茨木亀岡線も新しくつくりかえられるという状況が出てます。ダム湖からそう遠くない1キロメートル前後のところに、第二名神が走るという状況も出ているわけです。この第二名神も1年や2年でできるものじゃありませんし、数年間にわたって工事そのものが進められると。内容的には、竜王山のところをぶち抜いてトンネルを走らせると。それ以外のところは橋をつくるというようなことで、大きな土木工事だと私は思っているんです。

 そういった形で、だんだん道路をつくったりということで地山が脆弱になっていく。脆弱になれば、さらに堆砂がふえる要素ということにつながっていくんじゃないかと思いますけれども、こういった点についてどう考えているのか。それから、堆砂の計算をしてから、実はこの第二名神の計画も出てきたわけです。そうなってきますと、第二名神による堆砂というのは、全然考慮されないままに160万トンという数字が出てきていると思いますけれども、こういった第二名神のことを考えた場合、やはり堆砂という数値については、一定やはり変更が要るんじゃないかと思いますけれども、その点についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。

○江原ダム推進課参事 まず1点目、安威川の堆砂についてでございますが、確かに一つの雨が降って、どれだけ土砂が流出した、それを調査するということにつきまして、理想を言えば、山下委員がおっしゃることかもわかりませんが、いろんな諸条件の中でやっていく中で、先ほど私が申し上げたように、大阪府におきまして、大阪府の河川は安威川だけではございませんので、府下の河川の堆積土砂の堆砂状況について調査を行って、順次優先順位の高いところから取っておるというところでございます。それがダムについてでございますが、ダムの寿命というのは息の長いものでございまして、仮に1年1年のデータはとれなくても、経年的なマクロ的なデータでもって把握することによっても、可能だと考えております。

 それと、2点目でございますが、平成5年から、先ほど私が答弁申し上げました数字に比べて採石場の面積が広がっておるということでございますが、平成5年のデータがどのようなものなのかは、私は把握しておりませんので、この場での発言は差し控えますが、先ほど申しました約179ヘクタールのうちには、もう操業が終わって緑化回復がなされておる部分、保全緑地と申しまして、採石場の操業区域に入っておるものの手はつけないところ、そういったものを含んだ上での179ヘクタールでございます。現在、私どもが把握しておる数字におきましては、それの内訳については把握できておりませんので、どれぐらい裸地があるのかということについては、わかっておりません。

 昭和42年の災害による堆砂についてでございますが、ダムの堆砂につきましては、私、先ほど申し上げましたような手法でもちまして、堆砂容量を決定いたしておりまして、そのうちには流域における採石場の操業状況も十分考慮した上で、当然、安威川流域の地質についても考慮した上で、堆砂容量を決定されていると承っております。

 最後の、第二名神等における関連事業におけます堆砂に関する因果関係につきましては、把握できておりません。

 以上でございます。

○山下委員 私たち素人でこういったことを考えると、私も過去いろんなダムの堆砂の状況を見て、それと茨木の安威川ダムはどうなのかということで調査したこともありますけれども、堆砂が計画以下だったというダムというのは、私は余り知らないんです。一番ひどいのは中部日本の、ああいった急峻なところのダムというのは、特に堆砂が非常に多いという状況がありますけれども、しかしそれ以外のところについても、堆砂が計画を上回って進んでいくということが、一般的やというふうに私は思っているんです。

 そういう点からいうと、茨木の安威川ダムが110万トンから160万トンという形で、確かに計画変更が1回はありましたけれども、その後の第二名神も含めて全然考慮されていないということだと思いますし、それから先ほど言った昭和42年の水害の問題とか、それから2年前の大雨。そんないろんな状況を見ると、やっぱり謙虚に堆砂の問題を考えていただきたいなと思っています。せっかくつくると言いますか、100年の構造物の中で堆砂がどうなっていくのかというのは、やっぱりダムの目的そのものにも大きくかかわってくる問題ですし、利水とか洪水調節というか、そういったものも砂との関係で変化をしてくるということだと思うんです。そういう点でいいますと、まず砂の問題。もうちょっと検討していただけないかなと思いますけれども、その点について、再度、検討する気があるのかどうか、お聞きをしたいと思います。

 安威川ダムは、総貯水容量が2,290万トンという計画ですけれども、貯水容量の1,000万トン以上のダム、近畿にもいっぱいあると思いますけれども、これが実際、建設ができて10年以上たったダム、その貯水容量が1,000万トン以上で10年以上経過したダム、こういったダムの計画段階での堆砂はどれぐらいで、10年たった後、実際にたまってきた砂はどれぐらいであったのかというやつを、これは資料として出していただきたいんです。近傍ダムとかいろいろ言いますけども、過去のダムの委員会の資料をずっと見ましたけれども、やっぱり茨木の5.6パーセントという堆砂率というのは極めて低い数字になっています。先ほどのいろんなことを考えますと、やはりこの数字ではいかんのと違うかと。10パーセント、20パーセントというのが、実際つくった際の堆砂容量になっていくんじゃないかというふうに、私はやっぱりつい思ってしまうんです。もし、そういうことじゃありませんよと、計画どおり160万トンでいいんですよということであるならば、ぜひ実際のダムが、計画と実際とでどういうふうに変わってきているのか、一緒であればそれでいいですけれども、大きく見直しを迫られるようなことが、実際あるんじゃないかなと思いますので、ぜひ資料として、別に今すぐということじゃないですけれども、できるだけ早いうちに堆砂の問題で、こういった調査をしていただきたいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○辻本建設部長 堆砂の関係でございますが、いずれにしましても現在お答えできませんが、大阪府に問い合わせましてお答えしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○山下委員 そういった資料を後から提出してほしいということだけ申し上げたいと思います。