茨木市議会議員 山下けいきHP

 

 

官製ワーキングプアの議論

2009年3月13日

 ○12番(山下議員) まず、第1点目でありますけれども、官製ワーキングプアという言葉がだんだん目新しくなくなってまいりました。本市のこの言葉に対する見解を問いたいというふうに思います。
 さらに、人事院の事務総長が通知を出しておりまして、それは昨年の8月でありますけれども、事務総長から、国の非常勤職員の給与改善について通知が出ておりますけれども、その1つが非常勤の給与が経験年数を加算すると、こういうことが挙げられております。国の通知でありますけれども、地方自治体としても、この通知の趣旨を生かすべきではないかなと。それが自治体の最低限の義務というふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
 それから、パートタイム労働法が2007年の6月に改正されました。昨年の4月に施行されております。この第4条の2に、「地方公共団体は、前項の国の施策と相まって、短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な施策を推進するよう努めるものとする」ということが書かれております。地方自治体として、みずから雇用する短時間労働者の福祉の増進について、この趣旨に沿って積極的に生かすべきであるというふうに考えますけれども、見解をお聞きしたいというふうに思います。
 さらに、この改正を受けまして、何らかの対応をしたことがあるのかということも、お聞きをしたいというふうに思います。
 それから、本市の職員の関係でありますけれども、昨年の4月段階で、正規の職員、それから再任用の職員、それぞれ数を明らかにしていただきたいというふうに思います。
 さらに、臨時的任用職員、いわゆる臨職でありますけれども、この方々の総数、それからその中に占めるフルタイム、それと早朝、夕方、細切れで働いている方もいらっしゃると思いますけれども、それの数は一体どういうふうになっているのか。
 それから、フルタイム等に次いで、いわゆる恒常的な雇用、反復して雇用されていると。その方はどれくらいいらっしゃるのか、お聞きをしたいというふうに思います。
 さらに、フルタイムで働いている場合の平均年収、これはどれくらいになっているのかと。それから、非常勤嘱託員、これはどれぐらいいらっしゃるのかということでお聞きをしたいというふうに思います。
 それから臨時職、臨時的任用職員の関係ですけれども、これの男女別の割合ですね、それから年齢、こういったものを数字として持っているのであれば、明らかにされたいというふうに思います。
 さらに、非正規職員の比率は本市の場合どれくらいになるのか、分母と分子を明らかにして、比率を明らかにしてほしいというふうに思います。
 それから、臨時的任用職員、臨時職の場合については、人件費ではなくて物件費で支出をされているわけです。物件費に占める人件費ですね、これは幾らになっていて、対象者は何人いるのかと。それから、臨時的任用職員の推移、ここ10年ぐらいで、どういうふうに人数が変わってきているのか、資料があれば、教えていただきたいというふうに思います。
 それから、これは市民の方はよくわからないと思うんですけれども、なぜその臨職の賃金が人件費ではなくて、この物件費として処理されているのか。私は大変失礼な話だというふうに思いますけれども、なぜそういうふうになっているのかということで、お聞きをしたいというふうに思います。
 それから、定数条例の職員数と実際の正規職員、この数はどうなっているのか。私も例規集をずっとめくってみますと、定数条例で2,175人、定数条例に含まれない議会事務局で17人、監査委員事務局、それから消防と、こういったものを含めますと、本市の条例上の数字は2,199人とこういう数字になるわけです。ところが、定数条例は再任用の分を除いておりますから、実際の数は昨年で1,761人、ことし4月の予定が1,714人、こうなってまいりますと、条例で定める定数に比べて485人少ない実態があるわけです。条例で定める数の77.9%しか存在しないわけですけれども、こうなってまいりますと、この定数条例の意味は一体何なのかということになると思いますけれども、市の見解を問いたいというふうに思います。
 さらに、定数条例のわずか77.9%を占めることについての見解、これもお聞きをしたいというふうに思います。
 


○大野総務部長 順次、お答えいたします。
 まず、官製ワーキングプアについての見解ということでございますが、本市の非正規職員の労働条件につきましては、これまでから一定の改善を図っておりますが、今後とも国の動向に注視してまいります。
 次に、人事院事務総長通知に対する見解ということでございます。人事院事務総長通知は非常勤職員に対する給与についての指針を定めたものでありますが、これは国家公務員を対象としております。地方公務員につきましては、非常勤職員も含めて、地方自治法及びこれに基づく条例に従いまして、給与、報酬を支給しなければならないとされております。
 本年1月23日に総務省は、「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」を公表しておりますことから、今後の国の動向に注視してまいります。
 次に、改正パートタイム労働法に対する対応についてでございます。改正パート労働法は、公務員を適用除外としておりますが、その趣旨は市で雇用する短時間労働者にも生かされていくことが望ましいと考えております。したがいまして、今後とも非常勤職員の勤務条件の改善には意を用いてまいります。
 次に、本市と雇用関係にある職員の分類でございますが、平成20年4月1日現在で申しあげます。
 まず、正規職員につきましては、再任用職員を除いて1,761人で、再任用職員が90人となっております。非常勤嘱託員につきましては176人でございます。臨時職員につきましては、合計1,194人で、内訳といたしましては、週30時間以上勤務するフルタイム職員が609人、それ以外のパート的な勤務職員が585人となっております。また、臨時職員のうち恒常的に任用している方の人数ということでございますが、長期雇用を前提としておりませんので把握はしておりません。
 次に、臨時職員の平均年収ということですが、半年、半年の雇用契約ですので、1時間の単価は885円です。
 次に、臨時職員の人数比率についてでございますが、平成20年4月1日現在で申しあげます。再任用職員を含む正規職員の人数は1,851人で、臨時職員のフルタイムが609人となっておりますので、臨時職員の比率は24.8%となります。また、年齢別、男女別ということでございますが、正確な人数は把握しておりませんが、おおむね30代から50代の女性となっております。
 次に、物件費における臨時職員の経費でございますが、平成12年度、平成17年度、平成20年度、平成21年度の予算ベースで申しあげます。
 まず、平成12年度は、物件費が172億4,269万2,000円、賃金が10億4万7,000円で、5.8%、平成17年度は、物件費が141億2,620万8,000円、賃金が15億2,010万1,000円、10.8%、平成20年度は、物件費が143億7,146万3,000円、賃金が15億2,452万9,000円、10.6%、平成21年度は、物件費が134億7,807万4,000円、賃金が14億3,013万2,000円、10.6%となっております。
 次に、賃金がなぜ物件費かということでございますが、賃金につきましては、地方自治法第252条の17の5第2項の規定に基づき、毎年定期的に実施されます決算統計の性質別分析の中で物件費として位置づけられております。
 次に、定数条例の職員数と実数との乖離についてでございますが、定数条例につきましては、地方自治法第172条第3項の規定に基づき定めておりまして、職員数が増加しつつあった過去には定数をふやしてきた経過がございます。現在は職員数が減少しておりますので、定数条例の職員数と実際の職員数との間に開きがございますが、定数は職員数の上限を定めているものと理解しております。

○12番(山下議員) 幾つか答弁漏れみたいなものもあるわけですけれども、まず、本市のこの実態ですけれども、先ほど数字を挙げていただきましたけれども、これまでいただいた資料も含めてお聞きをいたしますけれども、正規の人件費が2000年を100といたしますと、2009年、ことしの4月の予定が81、要するに81%に人件費が縮小していると。一方、臨時職の人件費は2000年を100とすると、ことしの4月以降については143ということで、この人件費を見るだけでも、正規から臨時職への置きかえといいますか、これが急速に進んでいる状況にあるわけですね。
 一方、急速に進んでいる臨時職化への中で、この臨時職と正職との賃金格差、これもいただいた資料、今の答弁も含めて計算をいたしますと、166億4,374万4,000円、これが昨年の予算ですけれども、これを再任用90人を含む正規職員の1,851人、これにフルタイムに近い非常勤嘱託員176人、これが人件費ということになるわけですけれども、これを含んで総数2,027人で割りますと、1人当たり821万円という、数字が出てくるんです。
 一方、物件費の中の臨時職はどうなるかというふうに試算をいたしますと、15億2,452万、これを実数が、要するにフルタイムの方、それから早朝、細切れのパートの方も含んでの数字しかちょっと、私も持っていませんので、その総数である1,194で割りますと、128万にしかならないわけですね。ですから、フルタイムで働いていても、年収200万に満たない、いわゆるワーキングプアになってるんではないかなというふうに思いますけれども、この点どうなのか、どういう認識をされてるのか。
 それから、821万、それから128万もそうかもしれませんけれども、いわゆる雇用主としての市の負担分、これが入っていますから、単純に賃金ということは言えないかというふうに思いますけれども、この821万と128万というのは、極めて開きが大きいというふうに思いますけれども、この点、どう考えるのかですね。
 さらに、臨時職の待遇改善に向けて、先ほど言いましたけれども、人事院事務総長ですか、こういった通知の中で、いわゆる経験年数の加算を考えるべきだと。確かに国家公務員の関係で言ってるんだというふうには思いますけれども、国みずからが、地方自治体の臨時職員であったとしても、いわゆる反復して雇用されてると、そういう実態を認識してるわけですね。その上で、待遇改善については経験給といいますか、いわゆる加算、これを考慮すべきだというふうに国自身が、人事院がそういうふうに言ってるわけですけれども、この点についての見解を改めて、お聞きをしたいというふうに思います。
 それから、臨職の賃金、人件費が物件費に含まれている法的な背景といいますか、それはおっしゃるとおりだというふうに思うんですね。おっしゃるとおりだというふうに思うんですけれども、しかし、普通の人が考えて、やっぱり人件費が物件費に含まれるということは、おかしいと。
 埼玉県の草加市が総務省とこの間、やりとりをやっていまして、それで、人件費は人件費としてきちっとあげるべきだと。これは臨時職員の尊厳にかかわる問題である。さらに、私、広辞苑でこの物件費というのを引きますと、物の購入に値するものやと。
 この間、派遣切りや何やかんやということで、ずっと言われてるわけですね。人を物扱いするなと。自動車産業、電器産業ですね。トヨタ、日産、パナソニック、ソニー、シャープ、いろんなところがどんどん細切れに、要するに臨職の人たち、これを派遣切りしたり、大変な状況になってて、大きな社会問題になってますけれども、その中で対象にされた労働者が何を言うてるかというと、人間を人間らしく扱えと。物として扱うなと、こういうことを言ってるわけです。
 ところが、そういった状況を是正すべき国や地方自治体が、要するにそういった人たちを物件費ということで物扱いにしてると。これ、私ね、大きな問題やというふうに思うんですよ。
 やはり、今回、埼玉県の草加市は国とのやりとりを既にやってるわけですけれども、私はやっぱり茨木市として、こういった形で、確かに統計上、全国的な統一の指針といいますか、物差しが要るというふうには思いますけれども、何も物件費の中に働く人たちの賃金を入れる必要は全くないと。従来の人件費で、第2人件費ということで臨職の人たちは扱うべきだと。せめてこういった提言ぐらいですね。北摂市長会や大阪府市長会を通じてやるべきだと、こういうふうに私は思いますけれども、これは市長の見解をお聞かせ願いたいというふうに思います。
 それから、本市の臨時職員の問題というのは、議会等ではこういうふうに議論をしてますけれども、なかなか世間では臨職の問題というのは理解しがたい。いわゆる親方日の丸といいますか、公務員はいいなという形で言われるわけですけれども、役所の中に先ほど言ったワーキングプアというような状況の中で、全部が全部とは言いませんけれども、フルタイムの609人の方も含めて、臨職の方が1,194名、昨年の段階でいらっしゃると。この実態については知らないし、賃金が物件費に含まれてることも知らないと思うんですね。それは、私は、この点については、やはり毎年12月の市の広報で、市の職員の給料とか、いろいろ公表されておりますけれども、せめてそういった中に、こういう方々が一生懸命、市役所の仕事をされてると、そのことをやっぱり明らかに出すべきではないかというふうに思いますけれども、その点の考え方をお聞きをしたいというふうに思います。
 さらに、定数条例と実数との乖離ですけれども、それも大野部長が答弁されたとおりで、あくまでも上限を定めてるにすぎないということであるんですけれども、私は77.9というのは、非常に職員を切り詰めてきたなと。よくこれだけ人を減らしてきたなというふうにも私は思うわけですね。
 それで、今、非正規の人たちの問題はきちっと正規に扱えと。一定程度働いた方については、派遣法とかその他も含めて、正規職員として登用しろというのが国会の中での大方の議論になってるわけです。
 私はこの非正規で働いてるフルタイムの方、その他、非常勤嘱託員も入るかなというふうに思いますけれども、こういった方々をきちっと正職員として扱っていく方向性が望ましいというふうにも思いますけれども、市の見解をお聞きしたいというふうに思います。
 

○津田副市長 官製ワーキングプアという言葉を使っておられる、いわゆる賃金と職員の給与の差ということが問題ですが、これはもう議員御存じのように、雇用形態が全く異なりますんで、これを単純に比較して、この差が官製ワーキングプアという言葉には当てはまらないんじゃないかと。
 臨時職員、非常勤職員の待遇の改善につきましては、市も種々これまで改善に努めてきております。その結果が今の賃金でありますので、これは非常勤嘱託員、臨時職員の賃金というのは、現在の社会情勢、民間の給与、民間の状況、それと他市の状況等を踏まえて賃金の額を決定しているということですので、ご理解をいただきたいと思います。
 それと、経験年数加算、この問題については、今、国のほうでも非常勤職員の待遇の問題等で、種々議論されているということは承知しております。しかし、今現在、地方公務員法第22条、これが半年、半年の反復でなければならないということがありまして、その辺のことがありますので、市としては経験年数加算というのは現在の法制上、取り入れることはできないというふうに考えております。
 それと、この物件費の問題ですが、統計上の仕分けとして物件に賃金が入ってるわけですが、これは物件費に入っているから、臨時職員の尊厳を損なうというような形の問題じゃないと思います。やはり、臨時職員の採用、また待遇についても、先ほど申しあげましたように、市としても、その条件整備をしていくということが臨時職員の地位の確保ということにつながりますので、単に物件に入っているから臨時職員の方を物扱いにしているということは全く考えてませんし、そういう意識は全くございません。
 次に、定数と77.9%の分が乖離してると。常勤に近い臨時職員を正規職員にということでございますが、これをもし、正規職員で採用しましたら、これは今の厳しい予算がもう成り立たなくなるような形になります。やはり、これは各市も同様なんですが、その職、また仕事の内容等を見まして、ルーチンワークがはっきりしておって、臨時職員の方が行っていただけるような仕事がどこにあるのか、そういうことも精査して、職員の採用を抑えてきた結果がこの数字にあらわれておりますので、これをまた、元に戻して、すべて正規職員でというような形は、これは財源的にも当然無理ですし、そういう制度を変えるということは全く考えておりません。


(「議長、議事進行」と山下議員呼ぶ)
○辰見議長 12番、山下議員。


○12番(山下議員) 先ほどの質問の中で、臨時職員の方々が本市の中で一生懸命仕事をされてると。その方の賃金が物件費に現在入ってるけれども、臨時職員の実態についても、市の広報の中で、どれぐらいいらっしゃって、どれぐらいの人件費を使ってるかぐらい、明らかにしたらどうだということについて、質問したわけですけども、その点について、答弁をいただきたいというふうに思います。


○辰見議長 津田副市長。
    (津田副市長 登壇)
○津田副市長 職員の給与等は、これは国のほうからの通知等で公開しなければならないということがございますので、確かに12月の広報で毎年公開はさせてもらっております。ただし、臨時職員のこういう勤務条件等については、採用の希望者を募る場合、これは広報のほうでその条件等、広報誌等で載せておりますので、改めて正規職員と同じところで扱うというようなことは全く考えておりません。
 以上です。


○辰見議長 12番、山下議員。
○12番(山下議員) 本市においても非正規職員が総数で1,194名いらっしゃる。この方が非常に大変なワーキングプアといいますか、そういう状況になってる部分も多いと思うんですね。役所自身がワーキングプアをつくっていて、民間に対する指導はできないだろうというふうに私は思います。
 それと、物件費にしてることの問題ですけれども、先ほども取り上げました草加市のほうも、臨時職員の尊厳にかかわる問題だというふうに言ってるわけですね。臨時職員を人材として認知して、有効に活用していくということにもつながっていくんではないかということで、やはり物扱いしてるというふうに、物件費という言葉はなじまないですよ、世間で言いましてね。だから、これは質問にはならないというふうに思いますけれども、きちんと人材として認知をしていく。そして人件費なんだと。物扱いするという考え方はぜひ改めて、その方向で、一自治体として、市長会等に対しても発言していく、そのことが望ましいということだけ、私の意見を申しあげまして、終わりたいと思います。