茨木市議会議員 山下けいきHP

 

新ちゃんのお笑い人権咄

 

      第114話             咄家 露の新治

 

〈本気の人たち〉

 世の中、口だけ達者な総理大臣以下、見事にええかげんやということが分かってきました。「年金未納」 自体は、誰にもあるうっかりミスでしょうが、「年金を審議する議員」としての立場上の責任が、きれいに無視されています。

 

 口だけ達者な総理大臣は、笑ってごまかす総理大臣でもある ということが、北朝鮮にも知られてしまいました。そら、なめられまっせ。民主党の代表は「イカン」とゆうて辞めはりましたけど、公明党の代表は居直りまし た(イカンザキ!)。なにより「大臣が未納」という ことが重大な問題なのに、北朝鮮へ行くことで、うやむやにされてしまいました。

 

 マスコ ミが一斉に「総理の未加入間題(というより、堂々と嘘をついていた間題)」から腰がひけたことと、「拉致被害者 家族の帰国報道に流れた」ためです。政府・与党の人たちはイラクの人たちのことも、拉致被害者のことも、 所詮「本気で考えてない」のですね。自衛隊の人たちの命すら、どこまで本気で 考えているのか?頭にあるのは、選挙と、政権維持だけなんでしょうね。少なく とも、命を本気で尊んでいるようには思いません。

 

 〈命、健康、ありがたい〉

 命を本気で考えるのは、 やはり自分が病気をした時です。陽気に元気にへらへらとやってきた私も、先日お医者様のお世話になりま した。(年は、確実にとっているんですね。皆さんもお気をつけ下さい。) それでとりあえず入院と なった訳ですが、私にとってはいい経験でした。今まで、健康の大切さなど分かっているつもりでした。

 

 けどやっぱり、「タニンゴト」 でした。自分のこととして考えられるのは、「自分のこ とになった時」だけですね。 ほんまに、健康な時に健康の大切さは分からんのです。 病んで初めて、健康のありがたみが分かります。 幸い治療も上手く行き、予定どおり退院。その足で、 新潟へ行き仕事。さらに翌日は、三回公演をこなしたほどですから、たいしたことは無かったんですが、周りは大変な症状の人たちで した。

 

〈重病の人たち〉
 四人部屋で、私ともう一人、六十過ぎの、糖尿病なのにタバコもやめず、プリンを買ってきては食べている、おっちゃん。この二人は気楽な入院でしたが、後の二人は本当にお気の毒な 状態でした。お二人とも四 十代、共に胃ガンの再発。 抗癌剤の副作用で、発熱、食欲不振、吐き気、下痢に悩まされ、夜もよく眠れな い御様子です。働き盛りの年代。仕事、家族、さぞ気にかかることでしょう。 軽々しく気休めの言葉などかけられる雰囲気ではありません。

 夜中に何度も洗面 所へ点滴の支柱を押しなが ら行かれます。「ウエッ、 ウエッ」とえずく声。もち ろんうめき声は他部屋から も聞こえてきます。廊下を 看護師さんが走る足音。そ れに毎晩必ず聞こえる救急車の音。(救急車は病院に入る時には、サイレンをと めるべきです。着いたらもう鳴らす必要はありません。病院には、寝付かれず、睡眠薬をもらっている人がたくさんいるんです)
 

 なんやかんやで、寝付かれず、考え込んでしまいます。病院のベッドでじっと天井を見つめていると、色々考え込んでしまいます。大概、「マイナスイメージ」です。夜中、病院で考え事 をするもんではありません ね。ろくなことを考えませ ん。そうなると益々寝付け ません。日頃の睡眠不足を 解消するくらいの気楽な気持ちで入院したのに、寝るのに一苦労でした。

 

 〈病は気から!〉

  ただ私以上に元気な病人 (?)もたくさんいました。 気持ちで負けていないので す。肝臓癌の四度目の再発という、散髪屋のおっちゃ ん。エレベータの前で会 ったらいきなり「兄ちゃん!何で入ってきたか知らんけど、わしら、肝臓にこんな癌や!」と言いながら 指で大きな輪を作って、笑 いながら行ってしまいました。「癌」なんて聞いただ けでも恐い言葉を、あっさ り、はっきり、元気に、大きな声で。驚きました。

 

  翌日詳しく聞いてみて二 度びっくり。若い時、胃潰瘍の手術の際、輸血でC型 肝炎に感染。そのため肝臓 ガンになり三分の二を切 除。その後、再発。薬で 肝臓ごと壊死させた。そして 再再発。今度は、管で患部 に直接抗癌剤を入れて治療。そしてまた再発。二つ あるけど、一遍に切れんの で、二回に分けて切る、そ の一回目の入院、というこ とでした。聞いただけです くんでしまいます。なのに 七十近いそのおっちゃん。 声にハリのあること。気力充分。

 

 おっちゃんの心の支えは、「お客さん」です。 シャッターに、「当分休業」 の張り紙をして入院してき たのですが、常連がそれを見て「おやっさん、また入院してるのんか?」と、 続々と病院へ来てくれるそ うです。「この年まで仕事 ができて、お客さんから待 ってもろてると思うとうれ しいてなア」と、その時だ けはしんみりと語るおっち ゃんは幸せそうでした。ほんまに人は人によって支え られます。

 

 〈病気自慢!〉

  もう一人すごい爺さんが 現れました。80歳。肺に肝 臓に大腸にと、ガンができ まくりの、切りまくり。も うここまで来ると、傷の長 さが自慢。談話室の主役で す。シャツをまくって見せ てくれるのですが、縦、横、 斜めのダイナミックな傷に誰もが「ホオーッ」と目 を丸くします。全部合わせると50センチはあるでしょ うか?「あんたらどれくら いですねん?「聞かれて初心者の人は「私らほんましょうもないもんで、見せるのも恥ずかしい(?)」軽 症の人が恥ずかしがってい ます。

 

 またこの爺ちゃんがいたって元気。「私らこれ だけ(病気)やってても、 体は元気ですわ。柔らかい しね」と言いながら体前屈。 見事に、手が床にピタッ。 「へえ1すごいなア」とまねしようとした人が「あん た、脱腸切ったとこやがな。 やめとき!」と、止められています。

 

〈人はやさしい〉

 人は病気になるとやさしくなります。というより、 本来のやさしさを取り戻します。そこでは誰もが自分 の命の重さと向き合います。すると人の命の重さも 見えてきます。病気の重い軽いにかかわらずお互いの健康を念じることができます。退院する人をうらやむのではなく、心から「おめでとう」と言えます。人間として裸になっているからだと思います。

 

 看護師さんが聞くのは決まっています。朝は「よく 眠れましたか?」食後は 「ちゃんと食べられましたか?」そして「お通じはどうですか?」「ガスはでますか?」これだけです。どんな仕事をしている?どんな家に住んでいる?会社でどんな立場か?誰より上で、 誰より下か?何にも聞きません。年も生まれも、血筋も、 国籍も、体格、体型、容貌、ス タイル。何にも関係ありません。性根がねじれているより、腸がねじれていることのほうが大間題なのです。 人間、基本は、食べて、寝て、出して、なんですね。「快眠、 快食、快便」というのはほんまによく言いえています。

 

 勝った、負けた、損した、 得した、上や下や、有利や不利やと、朝から晩までがんじがらめにとらわれている我々。そんな我々が国民だから、「こんな政治」が通るんですね。 全ての人は病気になります。今健康そのものと思っ ている人でも、いつ病気になるか分かりません。それ どころか今現に、体の中で何が悪くなっているか誰もわかりません。全てをわが 身に引き受けて、生きているのです。元気な時は気付きませんが、病気になった 時、何が一番大事か、気付かせてもらうのです。 病気そのものはありがたいものではありませんが、 病気になって気付かせても らえるのです。

 

 全ての人が、 やがて病み、老い、死ぬのなら、ほんの少し想像力を働かすだけで、人は、命を尊べるのですね。首相も大統領も、大臣も都知事もすぐに、分かる筈ですのにね。 体が健康だと、精神が不健康になることもあるんですね。心も体も、おすこやかに!願生!

 

 なお、長文のため山下が勝手に区切りを入れています。

 

「語る・かたる・トーク」より。この冊子は市議会各派に届けられているものです。なお発行は国連登録NGO横浜国際人権センター、特定非営利活動法人(NPO)人権推進国民会議です。