茨木市議会議員 山下けいきHP

 

社会党の歴史の中で 1993.9.18 朝日                    
 

 護憲巡り市民運動きしむ

 非武装中立か現実論か

 

 「自衛隊違憲論」をめぐり社会党を支えてきた市民運動家らの間で、微妙なきしみが出ている。党が基本に据えてきた「非武装中立」を貫くのか、それとも最小限の「防衛力」を認める現実論を選ぶのか。外交政策などで自民党政権を引き継ぐ連立政権への参加で「護憲」掲げてきて市民運動の世界にも意見の対立が広がっている。
 「最近、社会党には『護憲派』というものがあるらしい。全員が護憲のはずなのに不思議なことです」
 社会党員で集会呼びかけ人の井上二郎弁護士が語りかけると、会員の100人あまりから苦笑がもれた。今月半ば、大阪市で開かれた「今こそ護憲の社会党再生を!大阪集会」でのことだ。党員や市民たちが次々に立っては、危機感をにじませ、不満をぶつけた。
 「平和憲法を子々孫々に伝えるのが仕事と思っている時に、社会党はどうしたことや」(勝間芳江・日本婦人会議府本部議長)
 「だれを応援したらいいか分からないという不安が広がっている」(松井義子・韓国の原爆被害者を救援する市民の会会長)
 大阪の社会党と総評は市民グループとも深いつながりを持ち、幅広い平和運動を進めてきた。だが、冷戦構造が崩壊し、労働界も「連合」結成で様変わり。柱となってきた大阪軍縮協、護憲連合大阪地方本部、反安保府民共闘会議の三団体は昨年末、「総評」の名の消滅と前後して解散した。
 引き継ぐ形で「大阪平和人権センター」がスタート。5月に開かれた総会で、すでに意見の「食い違い」は鮮明だった。
 「これまでのように『自衛隊は違憲』と主張するだけでは何も解決しないでしょう」
 こう記す方針案に、「今までの運動を切り捨てる考えだ。非武装中立論を貫くべきだ」という弁護士グループが「削除」を要求した。一方、提案した側の和田長久・同センター事務局次長は「国民の8割が自衛隊を容認している。自衛隊膨張に歯止めをかけてこられなかった運動を反省し、硬直した違憲論より具体的な軍縮プログラムを示すべきだ」と反論する。
 対立は、「解決しないでしょう」という表現を「解決しないのではないでしょうか」と改めることで、一応決着した。
 憲法と自衛隊の矛盾を埋めようと「平和基本法」の制定を提言している軍事評論家の前田哲男さんは話す。
 「『絶対変えさせない』という護憲運動が必要な時代もあった。今は軍縮の理想を掲げつつ現実的な政策を示すのが、社会党が生きる道ではないか。あいまいにせず大いに議論してほしい」

 

山下はこの集会の事務局を担っていました。記事の写真も集会のものでした。