茨木市議会議員 山下けいきHP

 

  政治倫理 1993 朝日

市民意識とズレ浮き彫り         
                    

開かれた議会を求める集会から

 

 「出張で自分のふる里に帰る議員も」「議案書は市民に見せるためのものじゃない、と言われた」ー。大阪市や高槻市、兵庫県尼崎、川西両市など各地の市議の不正出張や過剰接待といった市議会のあり方などを追及してきた人たちによる「開かれた議会を求める市民集会」(30日・北区の市立中央公会堂)では、行政視察のいいかげんさや、議員・行政と市民の間にある意識の落差などを指摘する声が相次いだ。また、高槻や堺市などでは、情報公開条例に基づいて出張費や議員調査費が公開請求され、不正出張などの実態が明らかになったが、大阪市では「出張費は議員の個人情報」などとして全面非公開になったことが報告され、自治体によって対応に大きな差があることもはっきりした。
 主催したのは、3年前から大阪市や同市議の公金不正問題を追及してきた「市役所見張り番」。府内をはじめ、兵庫県などから約50人が参加した。
 「見張り番」は去年12月14日、財政総務など6つの常任委員会が同年7月末に、東京へ一泊二日の出張をした際の支出命令書などの関係書類を公開請求したが、非公開になった。
報告の中で、「見張り番」の秋田仁志弁護士(31)は、「非公開理由の適用条文を見ると、市議会は『国等の機関』にあたるとか、議員の東京出張は『取締まり、監督、立入検査、交渉、人事などに関する情報』で、議員の『個人情報』だとか、でたらめなことになる」と指摘。「市は、情報を非公開にせんがために、情報公開制度利用している』と西尾市長の姿勢を厳しく批判した。

 

アリバイ的も

また、議員の不正出張の実態を次々と明らかにしている高槻市の「暮らしの中から政治を変える女たちの会」の堀内雅代さん(45)は「議員が出張先としている市議会事務局に問い合わせると、議会事務局で概要を聞いただけで帰ってしまい、実際に仕事をしている部局にはほとんど行っていないアリバイ的なものがある。視察報告書も『流氷』『観光行政』『市政全般』というだけ。自分の故郷によく帰る議員もあった」などと報告。
堀内さんは、幼稚園の統廃合問題の直接請求署名運動から始めた市議会の傍聴体験に触れ、「わたしたちの気持ちを代弁する議員がいないことを痛感した」とも話した。

 

議案書もダメ

一方、情報公開条例がない松原市の「つみきの会」の小森富美枝さんは、「去年12月、議会に出す議案書などを見せるよう市役所に求めたが、『議案書は議会に提出にするためのもので、市民に見せるためのものではない。あなたに見せたがために、13万部(市の人口)も用意できない』と断られた」などと、市民が情報を得ることの難しさを訴えた。
尼崎市の「議会情報の公開を求める会」の山田洋一さん(35)は、「尊大でこっちが言うことを無視してい、た議員が、不正発覚後は向こうからあいさつに来るなど、権威の根拠がなくなると、こんなに人が変わるんだなと思った。議員って張り子のトラだとよく分かった」と話した。

 

議員頼り問題

集会には、無所属の議員二人も参加。二木洋子・高槻市議は「個人の世話のようなドブイタ的なことを頼まれるが、議員の仕事は政策を詰めていくことなので、『できたら自分でやてくれ』と断っている。市民が議員に頼み、議員が行政に頼むという中で、政治の緊張感がなくなっている」と、市民側にも間題があることを指摘した。これに対し、北区に住む市民からは「市民個人が行政に言っても、資料を見せてもらえない。生活に直接かかわる問題なら、議員に頼まざるを得ないのが実情だ」との声も出た。
 そうした中で、
山下慶喜・茨木市議は、自身が50件近い公開請求をしたことに触れながら、「行政側は『先生、言ってくれれば出すのに』と言うが資料を手に入れる時は公開請求することにしている。市民は公開条例をもっと使い、非公開にするなら異議申し立てを必ずするなど、もっと強く迫るべきだ」と、議員の「顔」を使うことより、市民自身が行政とのかかわりで、もっと制度や権利を行使することを訴えた。