茨木市議会議員 山下けいきHP

 

         

  国鉄分割民営化満20年、その実態は

      -政府は民営化のモデルと

    自画自賛しているがとんでもない!-

社会通信の記事から

 

    国鉄と「借金」

 

◇国鉄:公共企業体として独立採算制。従って鉄道建設は自己資金による。

◇長期債務(借金)は政府決定の新幹線建設の工事費を全て国鉄の借金で建設したため。

◇分割民営化時にドサクサにまみれて、本州四国大橋、青函トンネルなどの工事費も借金に上乗せ。借金37兆円超える。8%前後の利息(借入先は郵貯がほとんど)。利息すら払えなくなる。

 

  1987年4月1日国鉄分割民営化強行採決で発足

 

JR各社:JR東日本、JR東海、JR西日本、JR北海道、JR四国、JR九州、JR貨物

その他:国鉄清算事業団(雇用対策室と資産売却業務等の部署に)、新幹線保有機構、鉄道通信、鉄道研究所、システム会社(出札業務コンピューターの開発)

上記、計21社で発足。

◇各社のその後

・本州3社:株上場により完全民営化。

・三島:1.3兆円の安定基金の利息と固定資産税半額の優遇でかろうじて黒字。

    基金の貸し先はJR本州各社等に。8%から5%そして3%と金利低下が経営を圧迫。2006年度で返済が済むと、更に貸出先を見つけないければならない。

JR貨物:JRにレール使用料を払う。固定資産税半額の優遇処置で黒字。

・三島、貨物は民営化のめど立たず。株は全て国鉄清算事業本部(旧国鉄)(鉄道運輸支援機構)が所有。

 

  借金返済策は破たん

 

・国鉄清算事業団:雇用対策室は1990年3月31日に解散(4月1日1047名の解雇)

 :資産売却債務処理部署は継続し、1999年3月31日に一旦解散し、4月1日に、鉄建公団の中に国鉄清算事業本部として継承、職員は全員JR各社からの出向者として身分移管。この時点で、10数兆円の資産売却にもかかわらず長期債務は当初の25兆5千億から28兆3千億に増大。借金返済断念し、国民の税金での処理と、タバコ1本1円を利息払いに当てることに。

現在は鉄建公団もろとも、02年10月に独立行政法人鉄道・運輸支援機構と改組。 資産売却したにもかかわらず長期債務の返済完全に失敗。国土交通省は詐欺罪に問われるべき。

・鉄道通信:テレコムに改名→Jフォンに株売却→ボーダフォンに株売却→アメリカ資本に株売却→現在ソフトバンクがオーナーに。(マネーゲーム、ギャンブル投機そのもの)・新幹線保有機構:1991年10月1日、所有する新幹線を各社に売却し、その資金をもって鉄道整備基金に改組。整備新幹線建設の主たる資金源となっている。

1999年3月31日、一旦解散し国鉄清算事業本部と統合し4月1日から鉄建公団に組み込まれる。

現在は鉄建公団、国鉄清算事業本部とで独立行政法人 鉄道運輸支援機構に。

整備新幹線などの建設資金供給のための役割。

 

  国労が分割民営化を反対した理由

 

・当時約30万人いた職員を12万5千人という大量首切り。

 職場からの猛烈な追い出し。差別といじめで、200人近い自殺者が出た。

・地方ローカル線の廃止:三島は大正時代の状況に。第3セクターに移管会社の90%が赤字経営。

・利潤第一で、事故の多発になる。

 際限のない人減らし。駅ホームからの転落は日常茶飯事。国鉄時代も含めて長期に新規採用なしと保守部門の丸投げで技術断層 、技術力低下に、早急な改善は非常に難しいだろう。保守職場の大幅削減で緊急の対応は非常に困難。復旧の遅れの原因。車両 と信号はJRの職場で直せなくなってきており、JRの指導ではメーカーの技術を盗めと言うだけ(職場報告より)

・分割民営化しなくても国鉄は1社で再建できた。長期債務の利息抜きでは黒字だった(だからJR本州は誰がやっても黒字になる構造)。長期債務と国鉄の資産(約200兆円とも言われていた)のバランスシートで黒字。民営化は国鉄資産のたたき売りだった。

・首切りの必要はなかった。1987年4月1日発足時、各社は欠員の状況だった。

 欠員数:約1万5千人内訳(北海道281、東日本7066、東海3790、西日本1857、四国435、九州411、貨物4 91、他)

 (当時の中曽根元総理発言)→国労をつぶし、総評つぶし、社会党を解体し、そして改憲が目的。

 

  分割民営化10年後からの出来事

 

・1999年10月15日国鉄債務処理法案成立。返済断念と国鉄清算事業団を鉄建公団に国鉄生産事業本部として1999年4月1日に移管。資産売却などのいくつかの業務が残っているため。現在も、大阪の梅田、吹田など、数兆円近くの資産が残っている。

・2002年2月28日:国労第一次原告団鉄建公団(旧国鉄)訴訟(地位保全等)に立ち上がる。

・2003年12月22日:最高裁はJRに法的責任なし。採用差別があったとすれば責任は旧国鉄が負う等の判決。

・2004年12月:千葉動労、全動労の各争議団が旧国鉄に裁判提訴。

・2005年4月25日:JR西日本福知山線脱線転覆事故。

・2005年9月15日:原告団地裁判決「首切りは合法。名簿登載時不法行為があった。500万円の慰謝料支払え等」。→この判決以降、闘う戦線が統一の方向に進み始める。(勝利解決の大きな条件)

・2005年12月22日産経新聞、当時の橋本元運輸大臣が尼崎事故を受けて「国鉄の分割民営化後悔している」旨のインタビュー記事掲載。

・2005年12月25日:羽越本線特急脱線転覆事故。

・2006年12月:国労本部が22日の時効前に、残りの闘争団員の旧国鉄への提訴(損賠のみ)

 

  国土交通省による鉄道事業の規制緩和のいくつか:事故の温床に

 

・運行ダイヤは認可制から届出制に。運賃割引も届出制に。→スピードアップと他会との競争の過剰な激化に。効率化として車両の軽量化(マニアは「走るんです」という言い方。つまり使い捨ての車両。軽いので風に弱い)でレールの保守の手抜きと絡めば、車両は空を飛ぶことにも。更なる脱線転覆の恐れは消えない。

・駅ラッチ内外での売店の巨大化→規制緩和で飲食含めて出店可能に。

 駅施設は本来は安全施設。しかし、儲け優先で端に追いやられている。火災の時など、旅客の避難誘導などの対応など駅業務に新たな業務が増え、現要員で果たして旅客の安全が保たれるかどうか不透明な状況。JR新宿南口の実態を見てもその不安は高まる。

・安全規制の緩和で技術基準は全て事業者の自主的な努力に。→際限のない安全軽視に。

 →JR西、東の脱線転覆事故の大きな要因の一つ。

 →事業者おまかせにより、国土交通省の鉄道の安全に対する理解力の一層の低下に。JRを適切に指導できなくなる恐れ大。

 

◇職場の特徴:国労差別は程度問題はあるものの無くなっていない。安全関係の主要な会議には国労ははじかれていて意見は反映されにくい状況。職場は人減らしと差別職場、上意下達で物言えない職場。

      安全指導は机上のものが多く事故があるたびに場当たり的な追加変更で現場は泣いている。

 

  労働組合

 

JR総連:JR内最大労組。旧動労が支配。運営は革マル方式で暴力と脅し。国労などへの組合差別を陰に陽に会社に強要も。ただ、内部でのごたごたがひどくなってきてもいる。

JR連合:JR総連から分裂。東海、西日本、四国、九州で最大多数。構成組合員から見て御用組合といえる。JRの利益優先暴走と事故体質へのブレーキ役は不可能だろう。

・国労・全動労・動労千葉:1047名の構成組合。少数で、差別されている。だが1047名の解雇撤回の闘いで、この20年 間にわたる共闘や支援の財産が積み上げられてきている。この財産は大きい。更に、改憲阻止など平和や民主主義を守る闘いとの結合でその輪を大きくする核としても重要。この財産を生かすことなしに、勝利は無いのでは。

 

  ◇読者からのおたより◇

 

勝つために 上京行動した時、滝野さんにお会いし、その時のことを永田さんに話しましたら、懐かしがっていました。長崎でも国鉄闘争、憲法改正反対の闘い等、運動が広がるよう頑張ります。今、「国鉄闘争20年・解雇撤回、労働契約法を考える長崎集会」を取り組み中。(長崎・N)

  編集部より あなたがたの活動の報告、そして永田さんの一文を先日目にしました。私どものところに寄せていただければウレシイな。

 

CS運動そしてパスモ教育 残業1ヶ月40時間の規則がCS(お客満足)運動とパスモ教育によって、多くの社員が60時間(1ヶ月)を超える残業で、頭も体もクタクタです。抵抗はしています…(埼玉・U)

  編集部より 私の足は京王線.パスモの宣伝が車内、車外に躍っています.その背後で労働強化が進行というわけだ。

 

1500号めざせ 1000号までまじかですね。ご苦労様です。次の1500号に向けてよろしくお願いします(横浜・T)

  編集部より 1500号と相なりますと、私めはいくつになるのかな。まだ70歳とちょっとくらいだ。がんばれるかな?

 

県議選でネジレ 現在、私の地元では、過去2回労働界が推薦してきた「民主党」の県議会議員に、現職の自治労書記長(44歳)が、職を辞し推薦を破棄して挑むという事態に至っています。社民党大分県連及び自治労大分県本部は、現職(民主党)支持というねじれた状況下でのチャレンジです。地方からの反乱(正常化)をこの地から目指します。(大分・A)

  編集部より 日本やはり狭いようですが広いんですね。いろんな反乱が起きているんだ。またご報告よろしく。

 

勝利つかみとる 何と言っても20年も経過したJR採用差別事件、支援の皆さんと共に勝ち取った「清算事業団に責任あり」の9・15判決を橋頭堡として何としても勝利解決をつかみ取らなければなりません。深川闘争団、全力を尽くして一線の闘いに奮闘していきます。支援の皆様の、より一層のご支援とご指導をお願いする次第です。(国労深川闘争団・団員家族一同)

  編集部より 「勝つ!」「絶対に勝つ!」との信念でがんばって。

 

「社保庁」への視点を 私は社会保険事務所の国民年金担当として毎日残業で母と二人暮らし。通勤時間は1時問で、高田駅から最終電車で8時のためタクシーで帰宅することも多いです。泥船に乗せられている。これからどうなるんだ。でも毎日タバコを一緒に喫う仲間と、労働力だけ売っているんだと話しています。マルクス・レーニ           ンを学んできたのにこのありさま。組合は方針転換、従業員はいても労働者はいない職場になり、休日出勤はあたりまえ、収納率を上げることが至上命令になっています。国鉄闘争、郵政ユニオン等に学び労働 者としての極道になりたいと思っていますが、できていなくて流されています。貴社に置いても社会保険庁職場をどうとらえるか記事として載せてください。(新潟・T)

  編集部より 自治労の仲間から、Tさんが望まれている指針が提案されています。次号に掲載します。ご期待です。