教育基本法見直しで国民的議論を求める意見書

 

  中央教育審議会が2002年11月に教育基本法の全面改正を求める中間報告を公表して以来、多くの自治体では、その改正について、慎重審議を求める意見書が採択された。それは、教育基本法が教育の憲法」とも言われ、準憲法的な性格を持った 重要法律であることからすれば当然である。教育基本法の改正は、憲法改正と同様に

幅広く十分に国民・識者の意見を聞くなど、時間をかけて慎重に結論を出すべき事柄と言える。

 

 しかしながら、今日まで、政府は、教育基本法の見直しについて国民の関心を喚起する努力を十分にはなさず、各地で行われた公聴会の内容も、広く国民に伝わったとは言いがたい状況である。そのような中で、青少年による犯罪の原因が教育基本法にあるかのように、一方的に決めつける論調も目立ってきている。

 

 現在、教育が多くの問題を抱えていることは事実であるが、国を愛する心」などの徳目を上から押し付けることでそれが解決できるものではない。現在の教育の諸課題を一つ一つ点検し、実態に合わせた改善策を講じるという地道な作業こそが求められている。

 

 現在の教育の諸課題の中には、教育予算を拡充し、教育基本法の内容を施策に徹底させることによってこそ、解決の図れるものが含まれているであろう。一方で、教育基本法を部分的に改めることによって対応すべき課題も存在するかもしれない。教育の諸課題に一つ一つ向き合い、その解決法を模索し、それと並行して、国民の間に教

育基本法に関する議論を高めることが今重要であると考える。

 

 よって、本市議会は、政府に対し、拙速に教育基本法を改正しようとして、秋の臨時国会や来年の通常国会に上程することは避け、広範な国民的議論の展開を目指すよう、強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 

平成16年9月24日

大阪府茨木市議会

 

この意見書への賛否(敬称略)

 

賛成

元気市民 山下けいき

共産党 畑中孝雄、岩本守、阿字地洋子、朝田 充、辻村 惺

 

 

  反対

民主みらい 中村信彦、田中総司、友次通憲、石井強

刷新21 辰見登、羽東孝、中内清孝、山本隆俊、井上勝美、福里俊夫、福井紀夫川本紀作小阪和夫、木本保平

公明党 大島一夫、村井恒雄、水野保夫、青山則子、菱本哲造、茂手木幹久 

市民ネット 西田孝、大谷敏子、上田光夫

 

欠席 松本利明