「お元気ですか」179号

 ご挨拶

夏本番ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

ロンドン、カイロとテロが発生、イギリスの公安は監視カメラに映った容疑者を公表して情報の提供を呼びかけました。これを契機に日本でも駅への監視カメラが大量に増えそうです。

理不尽なアメリカのイラク攻撃と支配、そして貧富の拡大がなんといってもテロの温床です。これを糾すどころか、共犯者になっているのがイギリスや日本。「日本人であることに誇りを持て」とのたまう人たちは、何をもってそれが言えるのだろうか、人間として温かい血が流れているのだろうかと首をかしげてしまいます。

一方で犯罪の実行だけが取締りの対象だったものを、相談したという疑いだけで罪に問われそうな共謀罪が国会に提出されました。今でさえ、盗聴法、コードとカードで国民を管理する住基ネット、ビラ配りだけで逮捕と権力者はしたい放題なのに、こんな誰でもしょっぴける法律なんてとんでもありません。政治の主人公として権力者の横暴を許さない取組みが求められています。暑い日々が続きます。くれぐれもご自愛下さい。

元気市民視察報告

元気市民は7月1214日にかけて東京都世田谷区、三鷹市、杉並区、町田市を視察しました。以下その報告の一部です。

東京都杉並区視察

杉並区は以前、住基ネットへの対応で視察していますが、今回もプライバシーに関する住民基本台帳の閲覧制度見直し、防犯カメラ条例の調査です。

当日、教育委員会で教科書採択をめぐって多くの傍聴者が駆けつけ、やや騒然とした趣がありました。

住民基本台帳の閲覧制度見直し

住民基本台帳は、かねてから業者によるダイレクトメール目的の大量閲覧に加え、悪意を持って台帳を閲覧し、犯罪に及ぶ事件など、社会的な問題になっています。

国も法改正に動き、本市の6月議会でも法令に基づく以外の閲覧禁止を求めて意見書を全会一致で可決したばかりです。

閲覧制度見直しの内容

 杉並の見直しは非閲覧者を特定しない場合には請求を拒めるようにし、官公署等からの請求は従来どおりとするものです。

 この判断は「改正が必要となっても実際に改正法が実施されるまでには年数がかかる。住民利益の観点から緊急性があり暫定措置として条例を改正する。規制を強化した法律が、施行されたら、またそれに併せて条例を改正したらいい」というもので、「待ち」、「横並び」がとかく多い自治体との違いを感じました。 

防犯カメラ条例について

@条例制定に至る経過

杉並では全国で最初の防犯カメラに関する条例が昨年の4月から施行されています。

市の調査でその防犯カメラの効果を認める意見が95%、一方で34%が無差別に撮影されることによるプライバシーの侵害に不安を抱いており、72%が防犯カメラの設置と運用に何らかの対応を求めていることが分かりました。この数字は茨木でも同様と思われます。この調査を受けて杉並区は条例化の動きを始めます。全国でも始めてということもあり、元最高裁長官、大学教授、弁護士などの有識者による専門家会議が設置され審議されました。この会議録はホームページで見ることができ、事前に私も読みましたが、それぞれの認識、感性などが一言一句の中に現れておりなかなか面白いものです。

条例は目的、防犯カメラの定義、基本原則、設置利用基準の届出、防犯カメラの設置者の義務、実行確保策、苦情の申立てで構成されています。

A防犯カメラの議論について

犯罪の増加、検挙率の低下、加えて最近ではテロの危険性を口実に監視カメラを設置する動きがあります。しかし犯罪の増加は事実なのかどうか、有用性についても、その目的、設置場所、費用、運用などとの兼合いがあり、一概に効果ありとはいえません。

杉並区の条例は、その点、専門家会議で十分な議論がなされた上での条例化であり、浅薄で粗雑な議論ではない点で評価できるものです。

東京都町田市視察

 町田市は大下革新市長の時代に「町田の福祉か、福祉の町田か」と言われた先進地で、中でも進んでいたのが障害者施策です。私はこれまでも社会党、また障害者団体との共同視察で訪れています。

就労・生活支援センター「らいむ」では障がい者の就労に向けて、履歴書の書き方、面接の受け方、採用された企業にジョブコーチとして働きやすい環境作りに努力されていました。ただ就労の身分は正職員ではなく、時間給のパートが大部分とのこと、それでも最低賃金は当然上回っていますとの説明。就労の実績も上がっており、福祉作業所にお金をつぎ込むより、ずっと効率がいいとも話されていました。茨木ではこれからの課題といえます。

 
リス園の視察

 大下革新市政時代を中心に働く場が増え、現在では心身障がい者授産施設としてこころみ農園、ダリア園、喫茶店2ヶ所、名産品の店2ヶ所、おかしの家など16ヶ所、また知的障がい者の授産施設も10ヶ所があります。

郊外にあるリス園は周辺の薬師池公園、ぼたん園、えびね園の観光ゾーンにあり、小学校の遠足先として賑わいを見せるとのこと。

リスが外に出ないように二重の出入り口となっており、障がいを持った人が、入園者がドアを閉めたことを確認してもう一つのドアをあける仕事をしていました。

なお、戴いた資料では「障害者」という表示ではなく、ほとんど「障がい者」の表記を用いており、障がい者の立場から文章表現などにも配慮していることがうかがえます。

民営化前提の保育所懇談会は問題だ

山下の質問内容は次の内容です。

@南助役は懇談会で「公でやるのは何だ、民でやっていただくのは何だと、その辺の役割分担というようなこともこの中での議論になってくるのかと思いますし、この懇談会で、すべて民営化というお話になるのか、そういうお話をこの中では議論いただくのではないかなと」、更に「この懇談会で、市の方針として民営化をさせていただく考え方を持っています、それについて、指摘といいますか、条件項目といいますか、そういうことをおつけいただきたいという形で進めていただきたいなと思っておりまして」と述べている。

この点、多くの委員から、「あくまでもあるべき公立保育所についての議論だと思っていたが、おかしいのではないか」といった疑問や批判が出されているがこの点についてどう思っているのか。

 A本市の「障害児」「虐待児童」「リスクのある児童」の受け入れはどの程度進んでいるのか。公立、民間保育所それぞれの状況について具体的に数字でお示しいただきたい。

また障害児については手帳保持者とそれ以外に分けていただきたい。

B民間保育所の選択権は保障されているのか。そのための情報は市民に開かれているか。市が保有する民間保育所の情報は一体何があるのか、明らかにされたい。

C本市は公立保育所、民間保育所に関する福祉サービスの評価制度を持っているのか。具体的には食事、特別保育への対応、健康管理、職員の雇用の安定、採用、移動、退職の状況、働きやすい環境、保育士の年齢分布、各種保険の加入の有無など・・・。持っていなければ作る必要があると思うがどうか。

保育所懇談会、意見書の詰めの段階に

7月15日、6回目の「保育所のあり方懇談会」が開かれ、議論を終了し懇談会としての意見書を作成することになりました。意見書は反対意見を盛り込むものの、民営化を前提としてまとめられそうです。私は実態調査も、ほんとにあるべき保育所の議論もないままに、民営化がなされることに反対です。また「官から民へ」の本質は何なのか、その分析もないままに、今の弱肉強食の自由競争を認める動きに迎合することにも反対です。

意見書は意見書、保育所のあり方を巡っての議論はこれからだと思っています。またいろいろとご意見をお聞かせいただければ幸いです。

ガイドラインとマニュアルで保育水準を確保−東京都三鷹市報告

三鷹では次のようなパンフが作られ、公立、民間を問わず保育所や職員の質の確保に努めていました。

・保育のガイドライン総論

・保育マニュアル―年齢別保育(0歳児〜5歳児)室内環境・あそび

―児童票記入の手引き

―保育計画・指導計画の手引き

―緊急対応マニュアル

・感染症マニュアル

・保育園入園案内

・栄養士の手引き

・安全保育

・安心して供食できる給食材料を選ぶために

・離乳食のすすめ方

・食品の取り扱い

・保育園視察のポイント 

このようなガイドラインは今後の保育所運営に大いに活用すべきだと思っています。

ムダな予防接種、日本脳炎に3800万はおかしい

本会議では日本脳炎の予防接種についても質問しました。残念なのは科学的な分野の質問は十分な資料と時間が要ることです。時間が制限された本会議では、単なる指摘しかできません。しかしどんな領域であれ、「おかしいことはおかしい」と追及したいと思っています。なお質問の内容は次のとおりです。

@5月30日に日本脳炎の予防接種は実質中止するとの厚労省の発表があった。まず日本脳炎について患者数と死亡者数、日本全体と大阪府どうなっているか。ここ数年の数字をあげられたい。なぜ日本脳炎といわれているのか。

A今回中止に至った理由は副反応だが、副反応の発生状況は日本全体と大阪府でのここ数年の数字をあげられたい。

B本市での接種状況はどうか。小学校、毎年の経費はどれぐらいか。

C今回の厚労省の発表を受けての対応はどうだったのか。

D日本脳炎に関して政府はどのような議論をしているのか。

E本市はこの接種の有効性、必要性、安全性についてどのような見解を持っているのか。

 

教科書の採択は憲法、教育基本法、国際化を踏まえるべきだ

    本会議での質問は次の内容です。

◆本市の学校教科書採択の流れはどうなっているのか。

◆採択に当たっての方針はどのようなものか。

◆教科書採択だけに限らず、全て教育行政は、憲法はもちろん、教育基本法など法規の尊重、また国際化社会の進展を踏まえたものであるべきだと考えているが、この点の見解は。

茨木市教育委員会に教科書採択で要請書を提出

     7月下旬に、山下は下記の要請書 (概要)を教育委員会に提出しました。

私は教科書採択にあたっては、児童・生徒が普遍的な価値である平和、自由、民主主義、国際協調への理解を育み、自分だけでなく、他者をも尊重できる人間の形成に供する最良、最適の教科書をと望んでいます。

 教科書の内容は一定の価値・思想の押しつけであってはならず、今日の国内外で達成された学問的研究の成果にもとづき編纂されたものが望ましいと考えています。学校で、児童・生徒の主要な教材として提供する教科書は上記のような観点に立って、児童・生徒の発達段階に即し、きちんとした認識・学力を育むのに最適のものを採用すべきです。

 したがって、文部科学省が今回の検定を合格した扶桑社版中学校歴史・公民教科書は、前記観点からして大きな問題点があると考えています。

間近に迫った教科書採択にあたっては貴教育委員会が、児童・生徒にとって最良・最適の教科書を採択されるよう要請するものです。

子どもと教科書全国ネット21が指摘する 扶桑社版中学校歴史・公民教科書の問題点

    ・日本の侵略戦争を正当化・美化、アジアの人びとの被害、原爆被害者数も書いていない

    ・国民はよく働き、よく戦ったなどと戦争を賛美している。

    ・韓国や中国など近隣諸国を蔑視し、韓国に対する植民地支配を正当化している。

    ・民衆の視点はなく、国家と天皇を中心とした歴史である。

    ・公民教科書は、大日本帝国憲法を賞賛し、日本国憲法の憲法改悪を推進。

    ・自衛隊を無条件で高く評価し、戦争を肯定する考えを押しつけようとしている。

    ・権利よりも義務を強調し、「国防の義務」を強調している。

    ・男女平等や男女共同参画社会を敵視し、女性の社会進出を問題視する内容である。

茨木市議会 公共交通の安全確保を求める意見書を採択

 6月議会最終日にJR福知山線の脱線事故、相次いだ日航機のエンジントラブルが相次いだことを受けて、政府が事故原因の徹底究明と安全確保のため強い指導を行うよう求める意見書を採択しました。

今こそ国鉄分割民営の検証を

今回の事故に関する野田正彰、鎌田慧、立山学の三氏の見解(抜粋)

野田正彰(関西学院大学教授)

暴力的に国鉄を解体した政治家、安全よりも利潤追求に走った企業、そしてそんな「民営化」を賞賛してきた財界やマスコミ。毎朝毎夕、私たちは過密ダイヤのなかを、満員電車に揺られながら通勤通学する。そこに働く人びとが奴隷のような労働を強いられていることも知らずに(雑誌「世界」7月号より)

鎌田慧(ルポライター)

上司の指示に違背したら処分、との恐怖が、国鉄の分割・民営化当時から、ひとりひとりの心の底に堆積されてきた。異論と抵抗が、大量解雇の報復を受けた。屈服と苦渋に依拠して、会社は利益を拡大させてきた。脱線転覆事故の報に暗然とさせられたのは、かって分割・民営化のころ「人材活用センター」という収容所に労働者を押し込め、百人以上の自殺者を発生させた職場の暗さが、そのまま「責任追及」「日勤勤務」「フォロー試験」「指導添乗」など、恐怖の労務管理としてまかり通ってきたのがわかったからだ。安全性は、職場の民主主義の強さに比例する。(神戸新聞05525日、「利益追求の果てに」)

立山学(ジャーナリスト)

国鉄時代には、「安全綱領」が、国鉄マンには徹底的にたたきこまれていた。(中略)しかし、この国鉄の安全綱領は、JRには継承されなかった。民営化準備段階で破棄されて、JRの「安全規範」では、安全のためには不可な国鉄安全綱領の五項目目の「疑わしいときは、手落ちなく考えて……」は削除されて、「規定の遵守」という項目のみが強調されている。(週刊金曜日05527(558)「事故再発防止には、民営化路線を見直せ」) ------

1047名の解雇撤回  鉄建公団訴訟原告団は訴える

1987216日、国鉄の分割民営化にあたって、全国で6千人以上の労働者がJRに採用されず、清算事業団に…。三年の雇用期限がきれた904月には全国で1047人が不当にも首を切られました。

現在解雇撤回を求め、約380人が鉄建公団訴訟を行い、判決はこの915日に言い渡されます。原告団は、勝利に向け署名や裁判所への葉書運動など全力で取り組んでいます。

(以上は「7.28JR宝塚線事故は警告する呼びかけビラ」から引用させてもらいました)

市役所は安威川の清流を守る先頭に

安威川の清流を守る取組みが流域の各団体で行われています。例えば玉島、大池、中津、太田、庄栄、三島、耳原、西河原の各小学校ではクリーン作戦、安威川探検、安威川の昔と今・・・といった3,4年の総合学習として、東雲、太田の中学校では青健協、部活を中心に、クリーン作戦が取組まれています。

またこの7月には橋の内、鮎川地域を中心に大阪府土木部、茨木市が一体となってクリーン作戦を繰り広げています。しかしまだ一部の地域、一部の団体にとどまっていることから、市が先頭に立って市民に呼びかけてほしいとの声が多くあり、次のような請願運動をしたらという動きが出てきました。山下もこの運動を広げたいと考えています。

安威川の清流を守るための請願書(案)

請願趣旨
 安威川は本市にとって貴重な自然が残された川であり、市民にとってもウォーキング、ボール遊びなど憩いの場となっています。

 しかしながら心無い人々が無造作に捨てるごみは絶えることがなく、しかも下流部にいくほどその量は多くなり、時には廃棄された自転車やバイクなども見うけることがあります。なかなか分解しないプラスチックを始めとするごみは、神崎川を通じ大阪湾へと流れ込み、長期にわたって海の汚染をもたらすことになります。

これまでも自治会や学校、青少年健全育成運動協議会の方々が中心となり清掃作業をされている区域もありますが、まだまだ一部の市民、地域にとどまっています。

私たちは安威川がこれからも市民の憩いの場所にふさわしいきれいな流れと河川敷を保ってほしい、また子ども達にとっても自然を学び、自然とふれあえる清らかな安威川であってほしいと強く願っています。

つきましては安威川の清流を保っていくために下記内容について本市あげての取組みを要望するものです。

  請願事項

    @現在のクリーンキャンペーン・作戦にできるだけの援助・協力をすること。そのために市全体の取組みとして位置づけ、窓口課をおくこと。

    A現在、取組んでいる区域が更に広がるよう取組むこと。

    B市は各種団体等に協力を求めるとともに、市広報などで流域沿いの市民だけでなく、幅広く市民全体に参加を呼びかけること。

    C安威川を管理する大阪府土木事務所とも連携し、年間を通じてクリーンキャンペーンの充実に努めること。

 

2005年7月